「ダムはムダ」は時代遅れ

東京都、渇水対策で12年ぶり人工降雨装置稼働(サンスポ)

東京都は21日、多摩川水系小河内ダム奥多摩町)周辺にある人工降雨装置を試運転させた。水源である多摩川利根川両水系のダムの貯水量が平年を下回ったことによる渇水対策で、稼働は12年ぶり。
装置は雨粒の核となるヨウ化銀をアセトンと混合、燃焼させ、送風機で煙突を通して上空に噴射。4千〜5千メートルの雲の中で氷結させ、雨を降らせる仕組み。都はこの日午後2時ごろ、奥多摩町山梨県甲州市にある計2基を稼働させた。
21日現在、利根川水系にあるダムの貯水率は47%、多摩川水系は同69%。都は7月24日から利根川水系について10%の取水制限を実施している。

ひところ、田中康夫氏らが唱えていた脱ダム、「ダムは無駄(Dam is dumb)」は色々な意味で時代遅れになりつつある。極端な渇水、その反対の極端な豪雨が続くと、むしろダムはこれから必要性を増すことになる。
日本ダム協会:地球温暖化と降水量:日本の100年後の予測〜降水量の変化

日本の100年後の降水量の予測を見ると、年間降水量は増大するが、変動が大きくなり、豪雨の日が増加する一方で、逆に無降雨日も増加する。このことは、豪雨と渇水の両方の危険性が増大することを示すものである。以下、具体的に見てみる。
約100年後と現在の降水量の変化を季節別に見ると、冬季には本州日本海側で減少するが、その他の季節では増加している。

地球シミュレータの予測では、

日本の夏の平均降水量の推移を見ると、降水量が増加するとともに、年々変動幅も増加している。
降雨強度別に年間日数の変化を見ると、無降水日(日降水量1mm未満)が増加し、弱雨日(日降水量1〜30mm)が減少し、強雨日(日降水量50mm以上)が増加する傾向が見られる。

と、予測していたが、もうこの夏に予測された兆候が現れている。むしろ予測以上のスピードで極端化が加速しそうな気配だ。
加えて原発の再稼働が一向に進まないこと。来月には再び「原発ゼロ」が実現する。多目的ダムで水力発電を増やさなければならない。今は既成の砂防ダムのマイクロ水力発電所化が各地で行われているようだが、水源確保の大型ダムを兼ねた大型水力発電も必要になって来る。「コンクリートから人へ」というキャッチコピーの中でダムは除外すべきだろう。日本人は空気でものを考えるとよく言われるが、その分、キャッチコピーという呪文に弱い。
ダムは無駄の論拠となるのはダム湖は砂やヘドロですぐ埋まる、結果、海岸の砂が減る、魚が上がって来なくなるなどだが、「ダムは100年経つと砂に埋もれて使えなくなる」場合もあるが、仮に埋まってしまっても、その後も流水式発電として使える。ダムが環境を破壊すると言うなら土砂が川を埋めてできた湖沼も環境破壊だし、華厳の滝那智の滝も魚が遡上できないという意味で環境破壊になってしまう。
再生可能エネルギーを考える場合、降雨量が多く河川の落差が大きい日本では、マイクロ水力発電だけでなくダム発電も含めた総合的な水力発電の再起動が求められる。
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