そもそも冷却水はもう不要では

11月までに追加対策 政府、汚染水問題で 国内外の知見反映(福島民報)

東京電力福島第一原発の汚染水問題で、政府は10日、トラブルの事前防止策を強化するため「廃炉・汚染水対策チーム」を設置した。同原発で起こる可能性がある全てのトラブルに対し、国内外の知見を反映させた追加対策を11月上旬までにまとめる。同日、廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議の初会合で決めた。東京五輪招致で安倍晋三首相が「政府が責任を果たす」と発言した国際公約を踏まえ、迅速に対応策を示す考えだ。
福島第一原発では、汚染水の海洋流出防止のために護岸地中を改良した「土の壁」を造ったが、汚染水が壁を乗り越えるなど想定外のトラブルが発生している。政府が国費を投じる「凍土遮水壁」も大規模な実用例がなく技術面で課題が残る。
このような不安材料を抱える中で、対策チームはいつ起こるか分からないトラブルに備え、多重的な対応策を検討する。

東京電力によると、福島第一原発の崩壊熱は事故から2年半たった今、原子炉当たり200キロワット程度、スポーツカー一台のエンジンが発している程度の熱量にまで小さくなっているという。
じゃあ、そもそもなぜまだ冷却水を注ぎ込んでいるのかという話になる。原子炉の格納容器はスポーツカーのエンジンよりも比較にならないくらい大きいから自然放熱で格納容器が過熱して溶けるなんてことはあり得ないだろう。ましてや再臨界という事態はないだろう。
なのに原子力規制委員会は今頃になって、
原子炉注水量、減らす検討=高濃度汚染水の発生抑制−溶融燃料の発熱低下で・規制委(時事)

東京電力福島第1原発放射能汚染水対策を検討する原子力規制委員会の作業部会が30日開かれた。担当の更田豊志委員は、汚染水の発生量を長期的に抑制するため、原子炉への注水量を減らす検討を始める方針を明らかにした。
 2011年3月の事故から約2年半が経過し、原子炉内で溶けた核燃料が発する熱は下がっており、冷却のため注入する水の量を減らす余地があるという。空冷装置の併用も検討する。

ということは、今までずっと発生当時と同じ注水量を維持していたのか? 現在の崩壊熱は事故発生当時の0.05%、2000分の1程度。なのに注水量が同じならまるで汚染水を増やすために注水しているようなものだろう。
京大の小出裕章助教も、「水で冷やすというやり方はそろそろ諦めるしかない」と主張し始めた。(参照)

2年半たちまして、放射能自身も随分減衰というか、減ってきてくれていますし、発熱量も減っていますので、水以外の物質という事を考えて、これ以上汚染水を増やさないという事を考える時に来たと私は思います。

具体的には鉛とかですね、ビスマスとか、そういう重金属の類を、多分溶けてしまって、どこかにあるだろうと思われている炉心のところに送ってですね、その金属の、冷却材というか、熱伝導を使って炉心を冷やそうという、そういう発想があるのです。それが本当にうまくいくかどうかという事も私は確信は持てないし、これまでそんな事をやった試みも人類は経験したことが無いのですけれども、「水というやり方はそろそろ諦めるしかない」と私は思うようになりました。

鉛は融点320℃くらいだ。格納容器の鋼鉄の融点は1000℃以上だろうから、鉛を溶けたまま流して格納容器ごと、あるいは原子炉建屋ごと鉛で満たしても格納容器には損傷なさそう。うまく流し込めれば、格納容器の損傷部分も覆ってくれる上、鉛自体が放射線を遮断してくれる効果も期待できる。
もっとも溶け落ちた核燃料のアンコが、原子炉建屋のコンクリート壁下側まで貫通して地下水と直接接している可能性がある。
しかし、炉内の放射性物質を鉛で閉じ込めれば、懸念されている地下水遮断に伴う水圧差による原子炉内汚染水の地下水ダダ漏れは心配しなくてもよくなる。石棺ならぬ鉛棺を作った後に、陸側に地下水遮蔽壁(必ずしも凍土壁でなくてもいいだろう)を建設すれば建屋外の核燃料も取りあえず地下水と接触しなくなる。
今できることは核燃料のアンコから空気と水から孤立させること。ここまで来れば、ある程度作業員が近付けるので超音波なりの非破壊検査でアンコの在りかを特定し、それにむけて再び鉛なり水ガラスなりの被覆物質を注射して覆うことも可能かもしれない。
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