日本に迫られる3種類のメルトダウン


メルトダウンには比喩を含めて三層のメルトダウンがある。一つは原発炉心溶融という具体的なメルトダウン。もう一つは日本国債の暴落というメルトダウン。さらにもう一つは地球温暖化ティッピングポイントを超えて生態系そのものがメルトダウンするリスクだ。
リスクの大きさから見れば、1.地球温暖化メルトダウン=全世界人類が直接に関わり、存亡すら危険になり、もはや逃げ場所がない。2.日本国債メルトダウン=おカネの問題だから全国民が“被曝”する。海外移住できる富裕層以外は大被害を被る。3.原発メルトダウン=付近の住民に被害が出るが放射能汚染してない地域へ逃げることができる。
こう考えると、同じ“メルトダウン”でもそれぞれスケールが違い過ぎる。
原発メルトダウンのリスクは最もスケールが小さい。しかも、原発リスクはスタンドアローンで独立したリスクではない。これまで電力比率3割を占めていた原発を「再稼働ゼロ」という宗教的運動が小泉純一郎がキッカケに起きれば、原発をリスクゼロにしたつもりがモグラタタキみたいに別のメルトダウンリスクを生じさせることになる。
火力発電所が増設されたから原発なしでも乗り切れる、福島第一原発の原因が分かるまで待つべきと言う論もあるが、これはもちろん待つ気などさらさらない。大体本格調査は10年以上たって始められるかどうか分からず、反対する側ももちろん百も承知で「再稼働出来っこない」論に導くためのものだ。
そうすると10年から20年原発なしでやっていかなければならない。もうこの2年だけで既に貿易収支の赤字は慢性化し、これが10年も20年も続くとやがて経常収支の赤字化も慢性化するだろう。
これは日本経済の土台の弱体化を意味し、本質的な円安になる。そうすると、公共事業や他の国のサービスも余計に負担を強いられ、既に1000兆円を突破した国債残高は増えこそすれ減らないだろう。いくら成長戦略なるものがうまくいってもうまくいった気分になれるのはせいぜい3年くらい。成長戦略にはそもそも持続可能性がない。成功したとしても焼け石に水程度だ。円高よりも円安は本質的危機をもたらす。国の土台が揺らげば、国債の暴落はいくら財務省が号令をかけて一般企業に内部留保を積み増しさせても間に合うものではない。個人の金融資産もインフレで目減りしてますます国債メルトダウンのカウントダウンが始まるであろう。
3.11以降、全くメディアから消え失せた「低炭素社会」という標語も反故にされた。今後はこうして国債残高増え放題、二酸化炭素排出量増え放題になり、全て元の黙阿弥になってしまう日が近付いている。
小泉の言う「蓄電技術」そのものがナンセンス。再生可能エネルギーと蓄電技術とは直接何の関係もない。無関係なものを経済産業省が結びつけて「再生可能エネルギーはコストがかかる」対応マニュアルを作って小泉のような不勉強な人間を洗脳しているだけなのだ。
既に再エネ比率が二桁になっているドイツやスペインで蓄電技術が進んでいるか。進んでいない。不必要だからだ。
そう言うとこれまたお決まりの「ヨーロッパでは電力を輸出入できるから再エネができる。これも経産省対応マニュアル通りの批判の仕方。では、お隣の国は再エネの不安定に合わせて需給を調整してくれているとでも言うのだろうか。現実は火力発電の稼働調整で間に合わせている。蓄電技術なんて話は再エネ率が50%くらいを超えた段階での話だ。まだ1%の日本が何心配しているの。
結局、経産省の対応マニュアル通りに議論が進んでいるから何も進まない。政治家も学者もジャーナリストも全員霞が関の掌で踊らされているだけなのだ。本当に知的レベルの低い世界だ。
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