集団的自衛権って日本固有の和製概念らしい

Wikipediaで調べたら、
集団的自衛権

集団的自衛権(しゅうだんてきじえいけん、英語: right of collective self-defense、フランス語: droit de légitime défense collective)とは、他の国家が武力攻撃を受けた場合に直接に攻撃を受けていない第三国が協力して共同で防衛を行う国際法上の権利であると日本国内の一部の法学者や多くの政治家らが主張している権利である。その本質は、直接に攻撃を受けている他国を援助し、これと共同で武力攻撃に対処するというところにある。

いやはや無知だった。てっきり国際的に人口に膾炙した概念だと思っていた。ウィキペディアの説明、日本語版だけの“独自の解釈”だと思ったら、そうでもないらしい。国際的に流通した概念なら、対応する英語版も、フランス語版も、ドイツ語版も、ロシア語版も、当然ある筈だが、恐ろしいことにあらへんがな。あるのは、何と中国語版だけ(笑)。集體自衛權
要は、日本と日本のことを気にしている中国に限定した概念なのだ。中国版を見れば大体見当がつくが記述内容はほとんど日本の国防概念扱い。特に「参考」は日本国憲法第九条なのが泣けて来る。基本的に日本による日本の為の和製概念なのだ。
もちろん、国際連合憲章第51条

Nothing in the present Charter shall impair the inherent right of individual or collective self-defence if an armed attack occurs against a Member of the United Nations, until the Security Council has taken measures necessary to maintain international peace and security.

はあるのだけれど、“the inherent right of individual or collective self-defence”だけ。「明文化」の割に恐ろしいほどそっけない。素直に訳せば「単独にせよ、集団的にせよ固有の自衛権」で、「個別的自衛権」と「集団的自衛権」という固有の概念も示されていないし、違いも示されていない。ちなみに“collective self-defence”をグーグル検索しても、日本関係、日本の英字新聞ばっか。ニューヨークタイムズも、

termed “collective self-defense,”(「集団的自衛権」と名付けた)

と、括弧でくくった特殊用語扱いしている。
多分、当時の国際政治の文脈から推測すれば、ナチスドイツが複数の国家を侵略し、侵略された側は連合軍として戦った経緯から集団的自衛と文章化されたのだろう。
ごく普通の“常識”なのだからわざわざ厳密な定義をする必要性も国際的に意識されたことがないのだろう。ニクラグアとかベトナム戦争とかの例示がないわけではないが、超マイナーであることは隠しようがない。それだって多分、他に理屈が見つからないから重箱の隅をほじくり出すようにして引用されたんだろう。それを、

集団的自衛権は、1945年に署名・発効した国連憲章の第51条において初めて明文化された権利である。

だなんて、その大仰ぶりが片腹痛い。日本人が勝手に針小棒大に“明文化”しただけなのだ。まさに日本独自の解釈だ。
じゃあ、ニュースでよく語られる「第三国」とか「他国」って何よ? ということになる。自民党が色々なケースを苦労して例示したのも、外国に適切な例がないから独自の例をひねくり出すしかなかったのだ。
集団的自衛権の権利はあるが憲法9条があるので行使は認められない」という従来の解釈も、同様に他に理屈を構築するネタがないからほじくり出して「個別的自衛権はあるが集団的自衛権は行使しない」となったのだろう。そのココロは本来憲法9条では自衛権すら認められていないが、「国連憲章に個別的自衛権は認められている」と、あくまで自衛隊解釈改憲のための屁理屈として持ち出されたのだ。
しかし、「集団的自衛権」も一気に解釈改憲すれば余りにも刺激が強過ぎるから妥協策として1972年の片肺飛行的憲法解釈で済ませていたに違いない。
ご苦労にも何十年もかけて“歴史的経緯”をひねり出していた。元々憲法9条の解釈改憲に正当性を与えるために国連憲章日本国憲法の上位法規に見立てて補足的に印象操作に利用されていたのだ。こんな茶番劇に長々と付き合わされてきた国民こそいい面の皮だ。それをまたマスコミなどは「戦後日本の大転換」などと大見栄を切っているのだから茶番は続くよ、どこまでもなのだろう。
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