イスラム国「万国の無敵の人よ、団結せよ!」

イスラム国は無敵の国だ。ISISまたはISILの軍事力が無敵というわけではない。よく見る乗用車やトラックに武器を積んだ映像を観ると、大して武力もない。ただし、彼らの中核は無敵の人たちだ。これが彼らの最大の強味だろう。
無敵の人」と言うのは、ちょうど最高裁判決で死刑が確定した秋葉原通り魔事件の加藤智大被告のような人たち。

「自分のように人間関係も社会的な地位もなく、失うものが何もないから罪を犯すことに心理的抵抗のない人間を『無敵の人』とネットスラング(ネット上の俗語)では表現します。これからの日本社会はこの『無敵の人』が増えこそすれ減りはしません」――。

もっと言えば、死刑になることも厭わないから抑止力が効かない。イスラム国には海外から「無敵の人」が集結しているらしい。
さらに人を国に置き換えれば、イスラム国に賛同するグループは15カ国29集団にまたがるらしい。そもそも中東世界はサイクス・ピコ協定以来、無理矢理作られた国境で、そのことで戦争が絶え間なかった地域。地域自体が「人間関係も社会的な地位もなく、失うものが何もない」状態が続いていたともいえる。バグダディがカリフを自称するのはオスマン帝国の再興、さらには彼らの版図の野心がピレネー山脈以南のイベリア半島北アフリカ、東は中央アジアから中国の新疆ウィグル自治区まで及ぶことからもサラセン帝国の再興まで夢見ている。先週見たテレビではチリ出身のイスラム国兵士が「最終目標はローマ」と言っていた。そのココロはカソリックの総本山、ヴァチカン制圧だろう。長い長い十字軍との決着だ。
これは過去に遡るイスラム千年王国思想だろう。地上にサラセン、天上にアラーの祝福。自暴自棄になった人々にとって、これはとんでもなく魅力的な夢ではないか。これが無敵の人たちの究極のセーフティ・ネットになっている。この夢のためなら自爆テロで死ぬこともリアルに祝福と感じられるのではないか。
「万国の労働者よ、団結せよ!」は1848年の共産党宣言だが、彼らも「万国の無敵の人よ、団結せよ!」と言っているのだろう。
これを決して侮るべきでない。共産党宣言から69年後、ロシア革命が成就している。半世紀後、本当に21世紀のサラセン帝国が実現していても不思議ではない。
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