非対称性の戦争を仕掛けたのは欧米

先ほどNHKで「欧州緊迫 ベルギー連続テロ事件」を観ていたら解説者が「テロは非対称性の戦争」という毎度お馴染みの言葉を言っていた。だけど、これは正しくない。戦争の対称性を破壊したのは欧米側なのだから。
欧米と中東の戦いは遡れば古代ローマ帝国時代にまで行き着く。シリアやリビアローマ帝国の植民地として歴史に現れる。イスラム教だって古代ローマ帝国キリスト教を国教にしてから生まれた。その後、十字軍、レコンキスタを経て19世紀には第一次アフガン戦争と続くが、この時にはアフガニスタンの部族が団結してイギリス軍に勝ったこともあった。まだ戦争形態が白兵戦中心で、まだホームタウンの利が効いていた時代だった。
ところが、20世紀に入って、欧米側が機械的軍事能力が圧倒し、アラビアのロレンスの時代は事実上不利な条件をのんで屈服するしかなかった。それでも遅ればせながら近代戦に追いつこうとしたが、いよいよ決定的になってきたのは、20世紀末の湾岸戦争以降だろうか。
巡航ミサイル、レーザー誘導のピンポイント爆撃で戦争がコンピュータゲーム化したと言われ始めたのはこの頃から。もはや中東側は見えない敵と戦わねばならなくなった。最近では、ステルス機に加え、無人攻撃機で欧米側は完全に安全な場所から攻撃できるようにすらなった。これが本当の「非対称性の戦争」だ。単に正規軍と非正規軍の物理的軍事格差ではなく、まともに戦かおうと思っても、そもそも敵が見えない絶望的な状況こそ非対称性の本質だろう。
敵にいつ、どこから攻撃されるか分からないという同じ恐怖を味合わせるには、もはやこのような無差別自爆テロしかなくなったのだ。「目には目を、歯には歯を」なのだ。そう考えると、テロリストたちは過激と言うよりも、単に意趣返ししているに過ぎないと思える。
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