地球が壊れる前に〜超不都合な真実


公式サイト。原題:Before The Flood。マーティン・スコセッシ製作総指揮、フィッシャー・スティーヴンス監督、リポーター=レオナルド・ディカプリオ潘基文、アレハンドロ・G・イニャリトゥ、マイケル・ブルーン、エンリック・サラ、ジェイク・アワアヨク・ラバサ、ジェイソン・ボックス、フィリップ・レヴィン、マルコ・ルビオ、テッド・クルーズドナルド・トランプ、マイケル・E・マン、ティム・フィリップス、ジェームズ・インホフ、馬軍、アルビン・リン、スニタ・ナライン、アノテ・トン、トミー・レメンゲサウ、ジェレミー・ジャクソン、リンゼイ・アレン、ファルウィザ・ファルハン、イアン・シングルトン、ギドン・エシェル、イーロン・マスク、グレゴリー・マンキュー、ジョン・ケリー、ヨハン・ロックストロームバラク・オバマ、ピアース・セラーズ、フランシスコ・ローマ教皇。パリ協定4日発効後にモロッコマラケシュで開かれるCOP22(11月7〜18日)を前に特集したドキュメンタリー。期間限定(10月31日12:00〜?)。
原題の“Before The Flood”はただの洪水ではなくノアの方舟時代の大洪水の前、という意味らしい。ディカプリオ(41歳)が幼い頃から見ていたというヒエロニムス・ボスの祭壇画「快楽の園」の中央パネルにある状況、つまりは地獄を描いた右翼パネルになる前の状況のこと。このまま何もしなければ地球はリアルに地獄になってしまうということ。ディカプリオは20代の頃、「不都合な真実」のアル・ゴアにも会っている。本作も基本的に「不都合な真実」と変わらない。不都合が度を過ぎてきたことを除いて。そもそも「不都合な真実」も、当時としてもありきたりだった。
不思議な因縁でディカプリオの当時の作品、「タイタニック(1997)」は“Before The Flood”ならぬ“Before The Sinking”を描いていた。地球そのものが今やタイタニック状態。だけど実際、氷山に激突してもタイタニックが沈むわけないとたかをくくり、船が明らかに傾いて初めてパニックになった。皮肉にも北極にはもはやタイタニックを沈没させるほどの大きな氷山は消えつつある。
その頃は地球温暖化のことはほとんど分からなかったという。当時は「電球を替える」が温暖化対策の国民的スローガンだったそうで、日本でも有名人が割り箸を使わないとか、再生紙製の名刺を渡して「意識高い」を誇示していた。その程度の認識だった。
まあ、今だってそんなに変わったとも思えないが。特に日本では原発事故後は地球温暖化対策などどこかに吹っ飛んでしまって、この期に及んでもあたかも原発と温暖化は別腹意識で、原発停止で発電源からのCO2排出量が1.5倍近く増えたのに意に介されない。現実にパリ協定が発効してもマスメディアは他所事の話扱いだ。そんなことよりお隣の韓国大統領のスキャンダルの方がはるかに重要なイベントらしい。本作で日本人は誰も登場しないが、唯一、アブラヤシによる熱帯の森林破壊問題で日清食品カップヌードルがやり玉に挙がっていた。
そして、最近の「レヴェナント:蘇えりし者」では、雪不足のためロケ現場を急遽、南極大陸近くのアルゼンチンに変更したとイニャリトゥ監督は語っている。「もはや雪を見に行けるのはわずかな冒険家のみになるかも」と。
結局、対策として炭素税とか再エネへの変換を訴えるが、これらのことはディカプリオが20歳の頃から言われていたことで、何も目新しいことはない。さらに遡れば本作に出て来るようにベル研究所では1958年の時点で、現在とほとんど変わらない警告を発していた。なのに「地球温暖化とやらを連れてこい」と次期米大統領候補ドナルド・トランプはいまだに吠えまくるのが現実世界。
要するに人類はこの期に及んでも実質何もしてこなかった。実は地球温暖化問題はそのありきたり過ぎさ故に解決困難に陥っていることを現わしている。CO2はとうとう全球的に400ppmを超えてさらに爆上げしている。
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