九電の再エネ供給超過は“仮想現実”

九州本土の再生可能エネルギー発電設備に対する接続申込みの回答保留について(九州電力)

7月末現在の接続契約申込み量が全て接続された場合、近い将来、太陽光・風力の接続量は、約1,260万kWにも達することが判明しました。これは、電気の使用が少ない時期(春、秋)の昼間の電力需要を上回る水準です。

一応、九電に問い合わせたら「約1,260万kW」とは定格出力(≒MAX出力)を足し算したものだ。そのうち風力発電は80万kWなので太陽光分1180万kW。この数字見て「原発12基分凄い」なんて話もあるが、最大出力は、夏至の頃、快晴の正午ごろを想定している。しかも、九州本土全体が快晴の想定。この時点でかなりバーチャルだ。其の他、パネル温度も発電に最適な状態にオール九州が推移している状態。九電は既接続の390万kWの実績から実際どれくらい春や秋の時期に「全て接続された場合」の推定出力を計算できる筈だが、あくまで「実際にどれくらいになるか検討中」とのこと。付録のグラフを見ると、5月初めだと定格出力の7割くらいだろう。風力は2〜3割か。理想的でも900万kW未満だろう。
さらに「電気の使用が少ない時期(春、秋)の昼間の電力需要」は大体ゴールデンウィーク時期の晴れた日の日が昇り日が暮れるまでのデイタイムの中で需要が最低になる頃の電力需要が「800万kW」と想定している。必ずしも太陽光発電の出力がピークになり、供給超過の恐れのある正午前後とは限らない。説明通りだと、普通に考えると日が昇り始めた頃が電力需要の最低水準だろう。じゃあ、正午ならもっともっと需要は大きい筈。恐らく1200万kWの電力需要があり、太陽光のピーク発電出力とトントンぐらいだろう。
あれやこれや考えると、現状なら再エネ電力供給が総電力需要をオーバーするのはほぼないと思われる。あっても“最大瞬間風速”ベース。多分、出力調整できない川内原発など原発再稼働を想定の上でのことだろう。「近い将来」にはそういうニュアンスも感じる。保留期間は数カ月かかる見通しだそうだけれど、これも川内原発の再稼働の確定を見定めるためだろうか。
そもそも現状の九電の太陽光発電は年間ベースでまだ30万kWぐらい。まだまだ足りない。ならそんな特殊なピーク時ぐらい一部再エネを停止させても普及を図った方が年間通して化石燃料の排出削減に役立つのは明らか。
最後は金目の問題か。そもそもFIT価格って需要が殺到したらオークションで価格を引き下げられないのか。一体何やってるのやら。
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