内田樹先生「明日逮捕」

内田樹の研究室:007全巻制覇の旅が始まる 「知事あす逮捕」を特報する新聞を今日読もうと明日読もうと一般読者にとってはどうでもよいことであるが、この一日の差を生み出すためには新聞記者の「コンテクストを読む」という能力を最大化しなければならない。
つまり、特報を書くことそれ自体ではなく特報を書くことのできる能力を開発することで記者を育てている、というのがご説明であった。

つまり、毎日新聞は記者の訓練のために一般読者にはどうでもいいと分かっている「明日逮捕」記事をでかでかと大見出しを掲げて載せるわけだ。当然、その分の紙面分、他の記事が犠牲になる。新聞社が営利会社でありながら、社会保険庁並みのお役所仕事していることがよく分かるエピソードだ。
およそ社員の訓練のために消費者に役立たないと分かりながら商品を有料で販売する企業って他にあるんだろうか? そんな商売できるのは、紙面よりも洗剤やトイレットペーパーで営業成績を上げている新聞社くらいなものだろう。
訓練をするのは分かる。記者などon the job trainingでしか育たないだろう。しかし、己が「明日逮捕」という情報を取得して、それが正解だったと認識できれば済む話だ。
その訓練を読者にわざわざ届けるのは別の理由がある。他社を出し抜いて紙価を高めて快哉を叫びたいのだ。と言っても、業界内紙価だが。とにもかくにも他社を出し抜けば社内的評価が上がるのだ。読者のことなど実は知ったこっちゃない。これも省益>>>国益の官僚体質とそっくりだ。
暢気にマリノフスキーの交換儀礼などを連想している場合ではないのではないかと。
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