アインシュタインは著作権も正当化する
「著作権は財産権ではない」と言っている人がいるが、これはおかしい。なぜなら財産権(property right)はすべてcopyright(著作権)だからだ。
財産とは、有体財産、無体財産を問わず、コピー可能性に基づいた経済的利得の可能態だ。本とか音楽とかだけでなく、土地も建物もそうだ。
物理的土地そのものは財産ではない。「財を産む」から財産なのだ。その土地を利用して得られるコピーが財産だ。例えば農地利用の場合、毎年毎年作物の収穫が期待できる。つまり収穫を毎年毎年コピーできるのだ。作物と本、農業と出版業はなんら本質的な相違はない。建物だって大家さんは、毎月毎月賃貸料を請求できるではないか。違いは無体財産が空間的複製、有体財産が時間的複製というだけのことだ。
財産の本質はコピーなのだ。
アルバート・アインシュタインを持ち出すまでもなく、時間と空間は連続している。重力(人々の価値観)のによる歪みだけが時空間(財産)の本質であり、財産(copy)は時間的複製性と空間的複製性で成り立っている。
↑に挙げた例では、土地や建物の不動産は空間的に静止している故に空間的財はゼロだ。よって、これらはその分、時間的複製によってのみ財を生み出せる。
それでは著作権はどうか。例えば、映画のDVDはその財のほとんどは空間的複製、つまり大量生産によるばら撒きによる財から成り立っている。DVDが製造者から購買者まで移動する時間は時間的複製ではない。DVDが時間的複製による財となるのは、実は購買者に届いて「静止=不動産化」した瞬間からだ。すなわち何度もかけて楽しみを時間的に複製できるからだ。通常、時間の経過とともにこの時間複製財は低減するのは、建物が中古化するのと同じだ。
ところが、本来「静止」したままのDVDが再び動産化したらどうなるのだろうか。つまり、知人同士の貸し借り程度では財時空間の歪みはnegligibleだろうが、ネットで無際限にコピーすると、財時空間は歪みが生じる。サイバー空間におけるコピーの高速化は、すなわち物理的空間での光速移動と同様、時空間に大きな歪みをもたらす。すなわち、元のDVDの空間複製的財が歪むのだ。
これは正常細胞と癌細胞の関係に似ている。正常細胞とは、基本的に時間的複製財だ。すなわち新陳代謝が行われて生物固体の時間的複製(生命体の維持)が行われる。これに対し、癌細胞(正常細胞の不正コピー)は空間的複製財で、とにかく大量複製のみを目的にしている。その結果、生命時空間に歪みが生じ、生命維持としての時間複製的財が毀損される。以前書いた進歩的IT文化人で、山勘で「ウィニーというのはたとえてみれば、癌ではないが発癌物質」と書いたのは、恐らく無意識にそう感じていたためかもしれない。
相対性理論は、「アインシュタインは累進課税を正当化する」だけでなくアインシュタインは著作権も正当化するのだ。
有体財産権と無体財産権を区別するのはニュートン力学的な便宜上のものに過ぎないのだ。アインシュタインが論文を発表してもう1世紀経つというのに、いまだ法はニュートニアンなのだ。
では、この財産の時空間性を応用して著作権の保護期間を考えられないだろうか。もし、空間複製的財(重力)が圧倒的な短期爆発型ベストセラー本では、著作権保護期間(時間複製的財)は必然的に短縮せねばならない。逆にそうでないものは著作権保護期間を延長することになる。この関係は時間とともに、空間とともに変化するので、例えば、短期の爆発的ベストセラーではないが、古典化して超ロングセラー化すると、両者の中間的性質を持つと想像される。いずれにせよ「著作権と死後と何の関係がある」わけでもない。著作権も固定的(ニュートン的)ではなく絶えず圧縮膨張しなければならない。
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