ディスタービア

disturbia0アルフレッド・ヒッチコックの「裏窓」を換骨奪胎し、ヒキコモリが高じてPeeping Tomになった高校生を主人公にした、青春映画が途中でホラー映画に変化するという変態映画。色んな面で楽しませてくれるが、映画としては、原典には及ばないB級か。
disturbia3父親を交通事故で失ったショックで鬱になったケール(シィア・ラブーフ)が教師をぶちのめして少年法廷で自宅軟禁を命じられ、家の敷地を出ると足首のセンサーが赤になって警官がぶっ飛んでくる羽目になる。交通事故に遭ったのだから、原典を踏襲して車椅子で家で静養を余儀なくされたという設定もあったのかもしれないが、現代を浮き彫りにすることや、車椅子ではちょっと行動範囲が狭まられて窮屈になるという事情があったのだろう。
刑期は3ヶ月。ゲームも母親に禁じられ退屈でビデオカメラ、双眼鏡で遊ぶようになる。↑ビデオフィードバックのようなこともする。
disturbia1けれど、この年頃はやはりインランド・エンパイア(内なる帝国)よりも外なる帝国に惹かれるもので、美味しいターゲット→アシュリー(サラ・ローマー)の覗き見に精を出すようになる。この辺の住宅地、プール付きとはいえ、サブプライムローンで建てられた家のようで、かなりガードが手抜きぽく、こんな易々と覗かれたり、侵入されていいのかという疑問はある。覗かれる方も油断だが、覗く方も自分の部屋の灯りぐらい消せよ、気付かれるぞ。
disturbia2けれども、覗き特有の暗さ、隠微さはなく、覗きはいつか見詰め合う2人と化すのでありました。
どうも連続殺人犯らしき隣人ターナー(デヴィッド・モース)を怪しみ、アシュリーも、韓国系お友達も、一緒になって「覗き」は「監視」へと移る。覗いた側が覗かれた側と団結⇒青春ラブストーリー化だ。
同時にホラーへと変貌するのは、軽くて青い変態と重くて汚い変態との対決という、あまり聞いたことのない、文字通りの映画自体の変態だ。
デヴィッド・モースアンソニー・ホプキンス劣化コピーのようで、イマイチ。
disturbia4大体、この中年男、動きが素早過ぎる。金属バット1本で、若さ一杯の3人組に対抗するなんて無理だよ。特にブラジルのサッカー選手、ロナウドのようなろくでなし警官を秒殺というのもちょっと無理ありすぎ。
冒頭の不自然な交通事故、どっかでつながるのかと期待していたら、最後まで無関係。ここら辺、もうちょっと工夫できなかったのか。例えば、車ではねたという隠蔽用の鹿の死体が出てきた時点で、おお、これはやはり、父親もターナーの悪事を怪しんでいたために車ではねられた、行方不明だった父の死体も出て来た、とかになったらもっと深みが増しただろうに。
それに、ケールは父に美人のガールフレンドいると言っていたが、登場してくれなかった。
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