オンリー・トゥモロー

GDPhockeystickこれこそが本物のホッケースティックで、元祖ホッケースティックよりはるかに凄い。1800年を1とした1人あたりの所得の伸びのグラフで作者はグレゴリー・クラーク・カリフォルニア大学経済学部教授A Farewell to Alms: A Brief Economic History of the Worldより。これを株式チャートとして見た途端、ガクブルになる。
population curveちなみにこれは世界人口版ホッケースティック。World populationより。何かもうホッケースティックというよりも、「○起する地球」という感じだ。まさに「資本主義という奇蹟」(池田信夫blog)だ。
これらに比べれば、世界(北半球)の平均気温のホッケースティックはなんとマイルドなことか。化石燃料消費はまだまだピークに達しておらず、GDPや世界人口より遅行的で、まだ緒についたばかり、急騰するのはこれからという印象が強い。先行したGDPは「化石燃料の奇蹟」がより実態に近いだろう。
その化石燃料消費が近々ピークになるとしたら、この二つのグラフも急落せざるを得ないのではないか。いや、まだまだという向きもあるかもしれないが、株だって暴落前は大部分の人間は強気に思っていたものだ。「オンリー・イエスタディ」はそうした1920年代のアメリカを描いたものだが、洞爺湖サミットの間の抜けた宣言を読まされると、今はもうオンリー・トゥモローなのだと思う。もう既にそんな臭いが漂い始めている。映画でも人類滅亡がやたら流行していてまるで冷戦時代の核危機の時代のようだ。
所得だって、人口だって崩壊する時は崩壊すると見た方がいい。そうすると、一体どこまで下がるのか。上の尖がり過ぎたグラフ見ていると、相場格言の半値八掛け二割引で人口は20億人くらいに激減、GDPだって一気に半分以下になっても不思議でないと感じる。つまりハイパー・クラッシュだ。
食糧危機、エネルギー危機、温暖化による疫病増加、海面上昇などといった生易しいものではなく、これらは背景にはなっても、直接の引き金にはならないと思う。根本的に崩れるのは現在の国際自由貿易を下支えしている「信頼」が何かのきっかけで崩れる時だろう。どんな危機が迫ろうが、「200年の成功体験」は人々の考えをそう簡単に変えはしない。その過去への信頼、人間同士の信頼、システムへの信頼が崩れると、世界は案外あっさり崩壊する。
その時、ダーウィンの進化論に影響を与えたマルサスMalthusian catastropheの新バージョンともいうべき淘汰が起きて、行き着くところまで行き着く感じがする。
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