Dreams come free

夢を映像化!?脳内画像を脳活動から再現(産経) 人が目で見て認識している視覚情報を、脳活動を調べることで読み取り、コンピューターで画像として再現することに国際電気通信基礎技術研究所(ATR京都府)などの研究チームが初めて成功した。まだ単純な図形や文字で成功した段階だが、将来は夢を映画のように再現できる可能性もあるという。
そうなると、人間は夢を見なくなる悪寒。
僕は夢を見たことがなかったからです(三島由紀夫天人五衰」)
痛いニュース:脳内画像の再現に成功 将来的には夢の映像化も…ATR・京都府で知ったのだけれど、これはヴィム・ヴェンダーズの映画「Until the End of the World」でこの種の機械が登場していたらしい。これ、日本公開されていたっけ? 映画は盲目の母に世界の美しさを見せようとする青年と、他人の夢を見て依存症になるというディストピア調らしい。
けれど、一番懸念されるのは、自己保存の壁が突破されることになることか。まだMRTで画像処理しているくらいならいいけれど、そのうち、夢盗撮装置のようなものが出来る。既に2ちゃんのコメントにも書かれているけれど、おちおち妄想も出来ない。
そういう環境になって起き得る防衛機制は多分、夢を見なくするということ。となるとフロイトが抑圧された自我の捌け口と見た夢すら捌け口でなくなり、夢すら抑圧されることになる。
考えられることは、偽善的な綺麗事の夢ばかり見る。しかし、それじゃ抑圧解消されないから、脳は夢すら暗号化してしまう。元々夢自体が現実の暗号化のようなものだから、そういう意味では暗号化の暗号化。他人が見ても一応訳が分からんような画像にしか見えない。完全に自分しか分からない世界の創造。
これって、案外、脳を刺激して脳自体が進化する契機になるかもだ。
もう一つの可能性は「夢」の共有ファイル化。もはや夢も妄想もプライバシーでなくなり、その結果、他人の夢も自分の夢も、他人の妄想も自分の妄想も価値が逓減し、コモディティ化してしまう。それは反面、「いかがわしさ」も消失してしまい、価値が平準化してしまう。
ということは、最終的に自己と他者の境界がボーダレス化し、喩えてみれば、みんな裸で街中を闊歩するような状態になる。そうすると、もう「恥ずかしい」とか「いやらしい」「格好悪い」という観念も消失してしまい、まず猥褻ビデオ店その他は倒産の憂き目にあう。精神科医だってもうお役御免になるかもしれない。今更、心の病なんて言ったって意味ないだろう。その面で案外かなり解放的な世界になるかもしれない。
その暁にはもはや「自己」という自意識すら変質してしまい、ある意味全員認知症状態になるかも。
もちろん、夢盗撮防御システムだって同時並行的に開発されそうだから、防御システムを手に入れられる人間とそうでない人間との間に格差が生じ、支配、被支配の関係になる。こうなると、ホッブズリヴァイアサン」の「万人の万人に対する戦い」のブレーンウォーズ版になりそうだけれど、大抵の人間は戦いに疲れて、もはやプライバシーに対してどうでもよさげ状態になって行き着くところまで行ってしまいそう。
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