ブロークン・イングリッシュ

brokenenglsh公式サイト。 ゾエ・カサヴェテス監督、パーカー・ポージーメルヴィル・プポー、ドレア・ド・マッテオ、ジャスティン・セロージーナ・ローランズピーター・ボグダノヴィッチ、ティム・ギニー、ジェームズ・マキャフリー。30代で美しく、仕事も出来るが周りの友達が次々と結婚して焦るニューヨーカーのノラ(パーカー・ポージー=写真)。背景に流れる音楽が場面場面でとても調和していて、いつの間にか感情移入させられ、地味系ながらだんだん他人事でなくなってくる不思議な力を持つ映画。
カンカン帽姿で登場する遊び人風のフランス人ジュリアン(メルヴィル・プポー)が意外と真面目。で、目付きの悪そうな親友のオードリー(ドレア・ド・マッテオ)が意外といい人でノラのことを気遣う。ほんのちょっとした意外性が意外と映画を引き締めている。
なぜ彼女が結婚できないのか。ノラ(Nora)という名前はイプセン人形の家」のノラを思い出させ、男性不信をどこかえに抱えていることを暗示しているようだ。実際にホテルのマネジメントを事実上取り仕切っているのに、VIP専用とはいえ、基本は電話応対、苦情処理係。まだ5週間もある社員旅行の企画も押し付けられて、いくら有能とはいえ所詮便利屋さん扱いされる。自分がオードリーに紹介した男性も、結婚したが最後、オードリーを社会的評価でしか見ないということを目の当たりにするとか、キャリアウーマン・バージョンのノラなのかもしれない。
ジュリアンも結局、そんな男の一人だと思い込み、渡された携帯電話のメモもどこかで失くしてしまう。失くしてしまうということは、その程度だろうという男性に対する悲観がそうさせたに違いない。
原題もBroken Englishだが、Hの発音が苦手なフランス人のジュリアンが“hungry”(腹ペコ)と言うつもりだったのが、ノラには“angry”(怒っている)と聞こえてしまったという場面が示す微妙なコミュニケーションギャップというほどの意味のようだ。
そのことと関連しているのか、ラストのパリの空港行き電車内での偶然というも愚かな偶然の再会で、ジュリアンが無言で行動に出る演技は秀逸。ノラに対する不信と当惑と戦いながらバッグを奪い取るようにノラを降車させるまで一気呵成。恐らく、映画の録音係という仕事柄、言葉の意味ではなく声音だけで判断したのだろう。←多分ハッピーエンド。
Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングにほんブログ村 映画ブログへ