諫早湾干拓地を潮汐発電所に改造できないものか
保坂展人のどこどこ日記:「原発は地球温暖化への切り札」という倒錯
諫早湾干拓の現場を取材した時に驚いたのは、干拓農地を「エコファーム」と呼んで、売り出そうとしていることを知った時だ。有明海に深刻な汚染と漁獲高の減少をもたらした諫早湾干拓・調整池の潮受け堤防の締め切りは「環境破壊のシンボル」として全国的に有名になった。「環境破壊」の烙印は、「環境農地」で打ち返すしかないというのは、イメージ操作が得意な広告代理店のよくある手法だ。干拓地に出来た入植農家は「エコファーム」をめざしているので、潮受け堤防を開門すると農地に悪影響が出て「エコファーム」が危ない。「開門し環境を守れ」という旗を開門派に独占させないために「エコファーム」でイメージを相対化する。
の個所を読んで、いつの間にか諫早湾干拓地が「エコファーム」という意味不明な農地になっていたのだと知る。当初は水災害から湾岸の農地を守るための潮受け堤防の筈だった。
諫早湾干拓事業@wikiを読むと、調整池以外に農地も予定されていたが、そもそも工事開始の1989年の時点で減反政策はとうに始まっており、
政府は、新規の開田禁止、政府米買入限度の設定と自主流通米制度の導入、一定の転作面積の配分を柱とした本格的な米の生産調整を1970年に開始した。
のだ。とすると、このエコファーム自体が掟破りであり、調整池のオマケ的色彩が強かったはずだ。今や耕作放棄地が埼玉県の面積ぐらいになったというのに、今更「エコファーム」で別の目的としての防波堤になってしまったわけだ。
裁判に勝訴したものの控訴中だが、現在の赤松広隆農水相は開門の意向があるようだ。
しかし、ただ開門するだけなら今更あまりに勿体なくないか。折角造った潮受け堤防をこの際、潮汐発電所に改造してエコ発電所に生まれ変われないものか。
潮汐発電(潮力発電)@wiki
満潮時には堰を開放し、湾内に海水を導入し、干潮時に堰を閉鎖し、海水をタービンに導入する。このタービンの回転力を利用して、発電機を回す。低落差の水力発電の一種ともいえる。
メリットは、燃料が不要で有害な排出部のないこと、潮汐現象を利用しているため、風力発電とは異なり出力の正確な予測が可能なことであり、安定した電力供給が行える。 しかし、日本においては、干満の差の大きいところはあるものの、大規模な潮汐発電所の設置に適した箇所が無いことから、それほど普及していない。
とのことだが、「大規模な潮汐発電所の設置に適した箇所が無い」も何も、もう既に堤防はあるのだ。普通に考えれば、後は発電施設を堤防に付ければいいだけだ。それまでのコストは言わばサンクコストでゼロと見なせるから発電量はともかくとして発電コストは原発よりはるかに安上がりにできるはず。
同じことは中止になった中海干拓・淡水化事業 にも当てはまり、事業は中止になっても堤防は残ったままだ。これも潮汐発電所に改造できるのではないか。
財政赤字が問題になっている今、無駄に存在するものは何でも使わないと損だ。
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