孫氏の浅見の明

ソフトバンク、自然エネルギーの普及促進で19道県とスクラム

ソフトバンクと北海道、神奈川、広島など19都県は25日、自然エネルギー協議会を7月上旬に設立すると発表した。太陽光や風力、地熱発電の普及拡大に向けた情報交換や政策提言をおこなう。ソフトバンク孫正義社長は、連結売上高3兆円の数%を再生可能エネルギー事業に投資すると表明した。
孫氏は、エネルギー供給量のうち水力を含む再生可能エネルギーの比率を現在の10%程度から引き上げ「2020年に30%を目指すことが必要だ」と指摘した。
そのためには、再生可能エネルギーの全量買い取り制度、送電網への接続義務、休耕田などの用途規制の緩和などが必要だとした。自治体側は、「規制緩和など民間投資を促す環境整備を進めたい」(秋田県)と応えた。
孫氏によると、全国の耕作放棄地や休耕田の2割に太陽電池を設置すれば原子力発電所50基に相当する5000万キロワットの供給力を得ることができ、天候による発電効率の低下を考慮しても全国の電力需要の20%をまかなえる可能性があるという。このほか、住宅用太陽電池の普及や、地熱発電風力発電の開発余地も国内各地にあると指摘した。

今は電力不足に一般の意識が傾いているが、今そこにある危機は何も電力不足だけではない。将来的に未曾有の食料危機が起きたら、折角休耕田や耕作放棄地に設置した太陽電池を取り払って食料増産に励まなければならないようなことが起きる可能性を考慮しておかなければならない。
今は食料危機などに意識が向かわないから大風呂敷を広げられるが、後悔先に立たずで、はっきり言って休耕田や耕作放棄地に太陽電池を設置するのは無謀だ。
そんなこと起こり得ないという向きがあるとしたら、過去の教訓に学べない愚か者だ。食料需要が新興国で増えるだけならいい。そんなことは想定の範囲内だ。ある時、突然食料供給が不連続的に急落する危険が有る。2008年のリーマンショックは金融大震災、2011年の3.11は電力大震災、ならば食料大震災ということもあり得るのだ。そして、それは同じように青天の霹靂の形でやって来るだろう。その時、今の東日本と同じように電力を供給したくてもできなくなるように外国から食料を輸入したくてもできなくなる状況を今から想定しておかなければならない。
要は順番が違うのだ。まず太陽電池で埋め尽くすべき場所は、都市から遠い過疎地の耕作放棄地や休耕田ではない。大都市圏のビル群、ありとあらゆる屋上や屋根に太陽電池を設置する。これが最も効率的な太陽電池の設置の仕方だ。
日本には人の住めない、農牧地に使えない砂漠のような土地は存在しない。設置できる場所は都市しかない。そして、都市の建物だけでも孫氏の提唱する太陽電力は実現できるだろう。
建物ごとに小規模の太陽電池をちまちま設置してもメガソーラーよりコストが高いとか、効率的でないという向きもいるかもしれないが、農地として使える土地を太陽電池で埋め尽くすのはそれ以上に非効率だ。
まさかの時に備えて最低限、可能な限り潜在食料自給率を維持しておかなければならない。その間、休耕田や耕作放棄地はいつでも食料生産できるようにバイオ燃料関係の供給元にしておくべきだろう。バイオマスより太陽電池の方が効率的だとか、そんなことはどうでもよい話だ。あることに意識を集中してしまうと必ず思わぬところで別の危機が隙をついてやって来る。それがカオス的な世界の現実だ。
ところで、日本が恵まれている海流発電や潮汐発電に言及されてないのはどういうことなのだろうか。いつも思うことだが、マスメディアに頻出するネタばかりが注目されている。メガソーラーの発想だって広い土地に恵まれた外国がやっているというかなり安易な発想で、日本には向いていない。大規模自然エネルギーならもはや誰も言わなくなったが、やはりダム式水力発電だろう。八ツ場ダムだって水力発電専用に設計し直せばかなりの電力が得られる。田中康夫が「ダムは無駄」などと自然条件も考えずにアメリカ直輸入の考えを広めたものだからすっかりダム=自然破壊とされてしまったが、ダムは自然環境の改変であっても自然破壊ではない。マスメディア主導の空気に流されてはいくら気宇広大な構想であっても、どこかで歪みが起きることになるだろう。
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