オキュパイ・バンコク(Occupy Bangkok)

世界で一斉に「反ウォール街デモ」、日本では反原発の訴えも(ロイター)

米ニューヨークで始まった格差是正などを訴える「反ウォール街デモ」は15日、ニュージーランドを皮切りに、オーストラリアや日本、英国やドイツなど世界各地で一斉に行われている。
 「ウォール街を占拠せよOccupy Wall Street)」と銘打って始まった一連の抗議運動は、主にインターネット上のソーシャルメディアを使って参加が呼び掛けられているが、実際に各地でどれぐらいの人数が集まるか分からない部分も多い。
 ニュージーランドの首都ウェリントンでは約200人、同国最大の都市オークランド(訂正)では約3000人、2月に地震に見舞われたクライストチャーチでは約50人がデモに参加した。

奇しくもこの動きは人間だけではないようだ。“洪水デモ”とも呼ぶべき自然のデモがバンコクに迫っている。
バンコクに近い工業団地でも浸水始まる(TBS)

これまでに300人以上が死亡したタイの記録的洪水の被害は、さらに拡大しています。日系企業の被害も深刻化していて、バンコクにほど近い工業団地でも浸水が始まりました。
17日、新たに浸水が始まったのは、バンコクの北45キロにある「ナワナコン工業団地」です。

ナワナコン工業団地に入るおよそ200社のうち半数は、NECや東芝など日系企業の工場で、5つの工業団地が冠水した中部アユタヤの被害と合わせると、これまでに400社を超える日系企業が被災しています。洪水はおさまる気配がなく、今後、バンコクにある工業団地にも被害が及ぶおそれもあります。

タイ洪水が浮き彫りにしたインドシナの森林・環境破壊(日経)

国連食糧農業機関(FAO)の調べによると、タイの森林は販売目的の伐採や開発などで過去20〜30年間で急速に失われた。1980年から90年までの10年間の森林減少率は 年率3.3%とフィリピンに並びASEAN最大で、90年の林野率(国土に占める林野の割合)は25%まで低落した。現状では一段と減少している可能性が大きい。

これは絵に描いたような自然の反乱(氾濫)だ。日本では在留邦人企業の工場が浸水したとか、サプライ・チェーンがやられるなどそんな話ばかりだが、皮肉にも日経がこの“オキュパイ・バンコク・デモ”を解説してくれている。
タイの森林面積は1961年には国土の53%あったが、FAO 「State of world's Forests 2009」(2009世界森林白書)によると、今や28.4%。実際には26%もしくはそれ以下のようだ。日本の森林面積比率が68%で絶対面積でもタイより広くなってしまった。世界平均は約30%だからタイは平均を下回ってしまっている。タイ=熱帯雨林のイメージはもはやオンリー・イエスタデーだ。
日経の記事に戻ろう。

タイに進出した日本企業が洪水で受けた被害を見ればわかるように、途上国の森林対策は先進国にも無縁ではない。COP17では省エネ技術や資金の移転や、排出量取引ばかりでなく、森林保全技術で先進国と途上国がどう協力していけるかというテーマも注目されそうだ。

二酸化炭素排出量を途上国にアウトソーシングした結果がこれだ。その結果、炭素貯蓄源の森林も破壊されて二重に二酸化炭素排出が加速する。グローバリズムが地球全体で見ればいかに非効率なシステムかが少しは分かるだろう。これは福島第一原子力発電所事故で「原発による電力は本当に安いのか」という問題が提起されているのと同じで、グローバル経済は本当に安くて効率的なのか」が提起されるだろう。人間は痛い目に会わないと本当のコストに対して目が覚めないのも同じだ。
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