横浜のストロンチウム90は牛の骨と大して変わらない

横浜市で新たにストロンチウム検出 マンション付近の2カ所(産経)

横浜市港北区のマンション屋上の堆積物から、1キロ当たり195ベクレルの放射性ストロンチウムが民間検査で検出された問題で、市は14日、周辺の堆積物を検査した結果、新たに2カ所でストロンチウムが検出されたと発表した。
市は「半減期の長いストロンチウム90と比較的短いストロンチウム89が同時に検出されており、現段階で危険性について判断できない」としている。
市によると、ストロンチウム放射線量は、港北区大倉山の道路側溝の堆積物で同129ベクレル、同区新横浜の横浜アリーナに隣接する噴水(停止中)の底にたまった堆積物から同59ベクレル。

これって大体どの程度のものか、ちょっと勉強してみた。
ストロンチウム@wiki

1957年から北海道で行われた調査では、1960年代から1970年代に北海道のウシやウマの骨に蓄積されていた放射性ストロンチウム (90Sr) は2000-4000 mBq/gを記録していたが、大気圏内核実験の禁止後は次第に減少し、現在では100 mBq以下程度まで減少している。

とのこと。(出典:北海道における90Srの牛馬骨への蓄積状況:農林水産省家畜衛生試験場)
これは、もちろん北海道に限ったことではなく、日本全国で多少の差はあれ、大体この程度なのだろう。
では、人間の骨はどうかと言えば、
2001年の放射線医学総合研究所年報によると、

日本人の骨中 (脊椎骨) の90Sr濃度は、1960年代のフォール・アウトの多いとき、例えば、0−4歳185mBq90Sr(gCa)、と比べ、1970年代より緩慢になって来ている。平成6年(1994年)死亡の0−4歳群では10検体の合併試料につき19mBq90Sr(gCa)、5−19歳群では9.4mBq90Sr(gCa)および成人群では13±4mBq90Sr/g(Ca)であった。近年の骨中の90Sr濃度はごく緩慢に減少する傾向にある。

となっている。その後もごく緩慢にしか減少してないので人間の成人の骨には、3月11日以前でも、10mBq/g程度含まれていたことになる。
一方で、横浜市ストロンチウム90のマイクロスポット。195Bq/kg、129Bq/kg、59Bq/kg。単位をmBq/gに換算すると、195mBq/g、129mBq/g、59mBq/gになる。半減期が50日のストロンチウム89を差し引けば、もっと少なくなるだろう。人骨や現在の牛馬骨よりは大きいが、そんなに飛び抜けて大きいわけではない。絶対量からすれば、自分の骨内のストロンチウム90を心配した方がいいだろう。ましてや1960年代は牛馬骨で2000mBq/gぐらいだったのを考えると、はるかに小さい。
土壌と骨と単純比較していいものか分からない。牛馬骨にしても人骨にしてもストロンチウム90の蓄積は所謂生物濃縮の結果であり、牛馬並びに人の生存環境がこれほどの濃度である訳ないから、横浜市の土壌はかなりの濃度だろう、とは言える。
しかし、マイクロスポットと名付けられているように、言わばこれらの土壌も環境濃縮によるものと考えられるので、どちらも濃縮であることには変わりがない。環境濃縮は主に降水量に依存すると思われる。
一方で生物学的半減期と環境的半減期もある。ストロンチウム90の生物学的半減期はほとんど期待できないようだが、検出された場所も恐らく環境的半減期が長い、つまりは浄化されにくいスポットのようなので、こういう場所もあるということだろう。
結論。なんだかんだ考えて、心配するほどのものではないと思う。
ところで、ストロンチウムは重い物質なので飛散しないと言っていたのに実際には250キロ離れた横浜に飛んでいる、政府はデマ飛ばしたという向きがあるが、呑気な人だと思う。ゴビ砂漠の黄砂は数千キロ離れているのに飛んで来る。飛行機だって飛んで来る。エンジンなくたって他の軽い塵に混じってグライダーみたく雲の中に含まれて降って来るだろうさ。あくまで相対的な話で、言った政府高官だって全くゼロと言った訳じゃないだろう。デマと言い張るのは常識がないだけだろう。
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