消費税増税責任を“次期政権”に丸投げする“不退転”野田首相

中日新聞社説:政治を諦めない 民の力を活かそう

消費税増税はいつの間に民主党政権大義と化したのでしょうか。
歴史的な政権交代を果たした〇九年衆院選民主党が掲げたマニフェストのどこにも、そんなことは書かれていません。民主党政権の四年間に消費税を引き上げることはないとも約束していました。
一体改革の素案を決める段階では当初、一三年十月に8%に引き上げる党執行部案が提示され、最終的には半年先送りを決めました。
一三年十月からの引き上げだと現在の衆院議員任期中に実施を閣議決定することになり、公約違反になるからだそうですが、そんなことはまやかしにすぎません。消費税率を引き上げるのなら堂々と「税率引き上げを検討する」とマニフェストに書くべきでした。

当初、13年10月実施としたのは、「4年間消費税を上げない」という政権公約を守るためで、単純に衆院選が2009年9月実施したので、4年を超える13年10月には晴れて公約期間が満期終了するからにほかならない。これで、政権公約守りつつ消費税増税が達成されるわけだが、さらに半年先送りすれば、現政権で閣議決定すること自体が難しくなる。まあ、現政権を民主党政権とするならばの話で野田政権とすればさらに微妙なのだけれど。
このままでは13年9月までには確実に実施される衆院選によって民主党政権そのものが崩壊している可能性が大だから、じゃあ閣議決定する時は民主党政権でない公算が大だ。結局「不退転」と言っておきながら、やっていることは次期非民主党政権への丸投げ、「後はよろしく」だ。
以前の消費税3%から5%への引き上げも法案を成立させたのは村山内閣で、実施を閣議決定したのは橋本内閣だ。今や消費税5%引き上げは、法案を提出した村山内閣だという事実はほとんど忘れられ、橋本内閣がやったともっぱら言われ、増税に伴う景気低迷も橋本内閣の責任と思われている。もっとも、その前に減税措置もされており、橋本内閣が景気低迷の戦犯というのは不当なのだけれど。
とすると、次期政権が自民党に戻ったとして、消費税増税実施を閣議決定することになる自民党が今度は“戦犯”扱いされる可能性大だ。戦犯扱いされれば、また民主党が挽回するチャンスが来る。これが「不退転」野田佳彦首相の戦略だろう。こんなリスクを自民党が引き受けるとは思えないから、今後も二転三転して結局何もできないままに先延ばしされるのではないか。
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