太陽光買取価格42円はぼろ儲けか

7月1日に施行される再生可能エネルギー特別措置法に伴う太陽光発電の固定価格買取制度の買取価格42円/kWh、買取期間は20年というのが高過ぎると不評のようだが、はたしてそうか。
資源エネルギー庁のグラフを見ると、原油価格は40年前の1971年はせいぜい1バレル=3ドル前後、20年前の1991年は1バレル=18ドル前後、2011年というか現在は1バレル=80ドル前後だ。大体20年おきに5倍くらい値上がりしている。そうすると今から20年後、1バレル=400ドルくらいになることだって否定できない。
一方の電力料金。東京電力の場合、1キロワット当たりの電力料金は40年前は10円、20年前は現在とほぼ変わらず18円ほど。ただし、円とドルの為替レートが変化しているので、ドルベースだと40年前は2.8セント、20年前は15セント、現在は23セント。
為替レートを無視すれば、電力料金もこの40年間で8倍、20年間で1.5倍になったことになる。原油価格が27倍、4.5倍だったのと比べればそんなに上がっていないのは、この40年間、原発ががんがん作られたからだろう。ところが今後20年間、脱原発原発がフェードアウトする運命となると、今までのようにはいかないだろう。
そうなると20年後、原油価格がさらに5倍(新興国の勢いからすればあながち非現実的でない)になったとすると、電力料金も現在の5倍近く上がっている公算が高い。人口が2割近く減っているので、電力需要が減ってそこまでは上がらないかもしれないが、電気自動車や家庭用ロボットが普及すれば、電力需要は1人当たりでは確実に上がっているだろう。
さらに為替レートがいつまでも超円高になっている保証もない。20年後には1ドル=150円前後になっているかもしれない。
とすると、電力料金も5倍くらいは上がっていても不思議ではない。こう考えると、今現在の試算では単純に、

年間予想発電量は約1万kWhとなるので、単純計算で年間42万円の買取りが見込め、20年間での買取総額は約840万円となる。ここ数年で、太陽光モジュールの価格下落や工期を短縮できる設置架台の開発などにより、初期費用が1kWあたり40万〜50万円程度で設置できる事例も出てきた。したがって、10kWの設置の場合400万〜500万円の初期費用となり、340万〜440万円が単純に利益と計算できる。地代家賃やメンテナンスコストを控除しても十分に利益を確保することができると予想されるので、投資する企業やファンドが増えてきた。

(参照)
となっても、十分に利益を確保できるかどうか微妙な気がする。当然物価も上がっているだろう。どうも日本人はこの20年、デフレ慣れして20年後も消費者物価も変わらないと思い込みで考える習慣がついてしまったようだ。太陽光パネル普及には役立つが必ずしもぼろ儲けになる保証はない。
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