欠落していた帰還ストレス対策

福島の避難住民支援で新たな支援策を検討 「さまざまな選択肢を用意」と茂木経産相(産経)

茂木敏充経済産業相は5日の会見で、東京電力福島第1原発事故で避難した周辺住民への支援について、自宅に帰らずに他の地域へ移住するといった新たな支援策を検討する考えを示した。今後、復興庁など関係省庁と連携し、具体的な対応策の検討を進める方針だ。
茂木経産相は「(帰還が困難な地域では)戻らなかったり、迷ったりしている方々の割合が大きくなってくる。そういうことも踏まえながらさまざまな選択肢を用意したい」と発言。原発事故の発生から2年半が経過し、歴代政権が目指してきた全員帰還が難しいとの認識を示した。

そもそも「全員帰還」なんてのは、リップサービスであって、元から不可能なのは知っていた筈。なのになぜこうしたことが言われ来たのは、「避難民のストレス」だ。
原発事故関連死 1459人、半年前から144人増 避難長期化ストレスに(福島民報)

原発事故で古里を追われ、避難生活中に命を落とす「原発事故関連死」が増え続けている。長期避難によるストレスが主な原因とされる。
県によると、9月1日現在の震災による死者は3279人。このうち、津波や建物の倒壊などによる「直接死」は1599人、死亡認定された「死亡届等」は221人で、ともに半年前の3月1日現在と変わりはない。一方、「関連死」は1459人に上り、半年前に比べ、144人増加した。
復興庁の分析では、関連死の主な原因は「避難所生活などの肉体的・精神的疲労」や「避難所などへの移動に伴う疲労」「病院の機能停止や転院による既往症の悪化・初期治療の遅れ」などだ。

これ以上、「原発関連死」を増やせないということらしい。その最たる意見は、
年1ミリシーベルト「独り歩き」/被ばくで田中規制委員長(47NEWS)

東京電力福島第1原発事故に伴う除染で国が掲げる長期目標の年間追加被ばく線量1ミリシーベルトに関し、原子力規制委員会の田中俊一(たなか・しゅんいち)委員長は23日の記者会見で「(1ミリシーベルトという数字が)いつの間にか独り歩きしている」と述べた。
除染を支援するため来日した国際原子力機関IAEA)専門家チームのフアン・カルロス・レンティッホ団長が21日、年間1ミリシーベルトについて「必ずしもこだわる必要はない」と述べた見解を容認した形。
田中委員長は会見で、住民が避難先でストレスを抱えて病気になったり死亡したりする場合もあると強調した上で「年間20ミリシーベルト以下であれば全体のリスクとして受け入れられるというのが世界の一般的な考え方だ」と強調した。
政府は事故後、年間20ミリシーベルトを基準に避難区域を設定。除染計画でも同じく年間20ミリシーベルトを短期目標としている。しかし、住民の間では低線量被ばくへの懸念があり、除染以外の自然減衰なども含めた長期目標の1ミリシーベルトを下回らなければ地元に戻れないとの考えが根強い。

仮に20ミリシーベルトで帰還しても住民のストレスは継続する。いや、避難先以上にストレスを抱えるリスクがある。
もうすぐ正月になるが、3.11前なら盆と暮れに帰省してくれていた子や孫が帰って来てくれるだろうか。子供は「幼い子はリスク高いので帰省できない」と帰省を渋るだろう。そうすると親族内で心理的亀裂が生まれ、それがストレスになる。事ほど左様に親しかった友人たちも寄って来なくなる。
人間関係だけではない。日常生活に必要な物資を買おうと思っても、以前あった店もほとんど再開してくれない。人があまり寄りつかなくなれば売り上げも減るので閉店することもあるだろう。
帰還したのはいいものの気がつけば孤立している。孤立家族、孤立集落だけが残り、ストレス死は更に増えることになりかねない。
最初から帰還不能を前提に「第2の故郷」を提供することに注力していれば良かったのだ。
Clickで救えるblogがある⇒にほんブログ村 経済ブログへにほんブログ村 環境ブログ 環境学へ