ノーベル物理学賞LEDは電気をより無駄遣いするパラドックス

ノーベル物理学賞に赤崎勇・天野浩・中村修二の3氏(朝日)

中村さんは受賞決定後、「自分の発明したものが使われていることは非常にうれしい。省エネや、地球温暖化を食い止めることにも役立っていると思う」と話した。

日本では、3人受賞の快挙に祝賀ムードだが、別にこのコメントに水を差すわけでもないのだけれど、
Jevons Paradox and the Nobel Prize: Will LEDs really lead to a drastic reduction in electricity use?(ジェボンズパラドックスノーベル賞:LEDは本当に電力消費を激減させるか?)
という記事が出た。
ジェボンズのパラドックスとは、

技術の進歩により資源利用の効率性が向上したにもかかわらず、資源の消費量は減らずにむしろ増加してしまうというパラドックスである。1865年、イギリスの経済学者ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズが著書『石炭問題』の中で、技術の進歩によって石炭をより効率的に利用することができるようになった結果、より広範な産業で石炭が使われるようになったことに注目し、ふつう直感的に理解するのとは逆に、技術の進歩が燃料消費量の減少をもたらすとは限らないと唱えた。

Lloyd Alterは

Every day there are new ways that LEDs are put to use, all of which consume energy where they never did before.(LEDが実用化されてそれ以前に使われていなかったところで電力が消費されるようになった。)

と、その例をあげている。結果、ますます電力消費が増えるだろうと。ただの広告看板やメニュー看板LEDが使われるようになったと。省エネの分、電力消費が効率的になり、電気代は相対的に安くなって、今まで使われていなかったところにまで電球が使われるようになった。これは日本でも注意して見ればすぐに見つかりそうだ。
同じように、この40年、日本で原発が建設されて発電の30%が原発で賄えるようになったからといって、発電に要する化石燃料消費が減ったかと言えば、絶対量は減っていない。(参照)福島第一原発事故以前の話だ。
事故以後、原発再稼働できないままなので当然増えている。
では、再生可能エネルギー原発分を賄えれば、その分、化石燃料消費は減らしても電力消費は総体で増えるのか減るのか?
一つの仮説として、再エネは従来より発電効率が低くなる分、原発と違って電気代が安くならないため、ジェボンズパラドックスの対象外で電力消費総量は伸びず、結果、化石燃料消費が増えないのではないかということ。非効率な非化石燃料発電が増えれば増えるほどこのパラドックスの罠から抜け出られるのではないか。
Clickで救えるblogがある⇒にほんブログ村 経済ブログへにほんブログ村 環境ブログ 環境学へ