長谷部恭男参考人の違憲発言は改憲目指す自民党に好都合

来年2016年7月に行われる参議院選挙。あと1年1カ月。これに向けて全てが動いているように見える。
国会で審議中の安全保障関連法案について、6月4日の衆院憲法審査会で「集団的自衛権の行使は違憲だ」と発言した自民党参考人の長谷部恭男・早稲田大学教授は自民党の人選ミスではないかという向きもあるが、まがりなりにもそんな重大ミスこの期に及んでするものだろうか。
ミスと言うなら、それに即応するようなツッコミどころ満載の中谷元防衛相の答弁ミスもあたかも連携しているかのようだ。
安保法制で問題発言連発! 中谷元防衛相に自衛隊の“改憲クーデター”協力の過去が(Litera)

現在の憲法をいかにこの(安保)法案に適応させていけばいいのかという議論を踏まえて閣議決定を行った

これ、立憲主義の否定、本末転倒と片付けるのは容易いが、もう少し素直に読むと、「憲法九条を改正しないことにはどうにもならないのです」と言っているのだ。解釈改憲には限界があることを暗に認めている。
そうすると、長谷部教授の“人選ミス”もあながちそうではないように見えてくる。自民党参考人でさえ違憲と言ったことは中谷防衛相の発言とむしろ平仄が合う。
仮に合憲派の学者を参考人に呼んだら逆に「改憲不要」になるではないか。解釈改憲の限界があからさまに示されることで、むしろ怒涛の勢いで改憲論議が盛り上がる、盛り上がせたいが自民党の真の思惑ではないか。案の定か、長谷部発言で憲法論議に火が点いた。結果、議論をし尽くしたというアリバイにもなり、いよいよ改憲の機が熟したという方向に持っていける。
実は改憲論議自体、これまではむしろ盛り下がっていた。自民党は押して駄目なら引いてみな、の如く、とにかく世論を揺さぶらなければならなかった。今年1月のISIS人質事件の後、周辺事態法発展的解消を目論んだのも、とにかく世論に揺さぶりをかけるのが目的だったと思われる。多分、本音ベースでは「8500キロ離れた」(ジハーディ・ジョン)中東に自衛隊を本格参戦する気などさらさらない。ホルムズ海峡封鎖なんてためにする議論だろう。本命は対中国なのだが、それをはっきり言うと外交的差し障りがあるからISILをダシに使っただけだろう。
そして、今回の“人選ミス”劇でまんまと改憲論議に火を点けることに成功したように思われる。後は「背に腹を変えられぬ」状況を演出すれば参院選になだれこめる。あと27議席かき集めれば憲法改正の発議がなされる。
この参院選に向けて全てが動いているように思われる。15年10月に予定していた消費税率10%への引き上げを1年半延期し、17年4月まで延期された。来年の参院選には意識されない絶好のタイミングだ。
日銀の異次元の金融緩和も昨年秋に追加緩和され、とうとう1ドル=120円台で見た目の成長も大きくなった。この分だと、来年7月の参院選が終われば、黒田日銀総裁は何らかの形で金融緩和の終了を示唆するだろう。最近、そのジャブのような発言もしている。(朝日

日本銀行黒田東彦総裁が国会で、為替相場の円安について、「ここからさらに振れていくことはなかなかありそうにない」

さらに原発再稼働の延期に次ぐ延期。九州電力川内原発は確か今年初めに再稼働させるはずだったが、いつの間にか今秋以降に延期された。ここまで予定がずれ込むと技術的問題と言うよりも、政局的問題を疑わざるを得ない。まだ川内原発だけならいい、が他の原発参院選前に次々再稼働だと塩梅が良くないと可能な限り刺激したくないのではないか。
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