再エネ賦課金をゼロにするふるさと炭素税

太陽光発電の普及抑制 経産省、再生エネ制度見直し(日経)

経産省によると、3月末までに買い取り対象として認定した設備は発電能力で8768万キロワット。このうち太陽光が約8300万キロワットと約9割を占め、2030年度の望ましい電源構成(ベストミックス)で想定した6400万キロワットを上回った。
太陽光の認定設備のうち、7割以上は制度開始初期に認定を受けたもので、36円以上の高い買い取り価格が認められている。

まあ、「2030年の太陽光、現時点認定済で事足りるという悲報」の通りなのだけれど、再生可能エネルギー促進で一番“障害”になっているのは「電気料金が上がる」ということ。特に、

7割以上は制度開始初期に認定を受けたもので、36円以上の高い買い取り価格が認められている。

ということだ。認定取り消しも一部あり得ないことではないが、一旦認定を受けると、20年間美味しい利益が得られ、それがそっくり家庭電気料金など電力消費者に再エネ賦課金として付加されるワケだ。今更どうにもならないのか。いや、どうにもなる。
ふるさと炭素税」を本格導入することだ。地球温暖化対策税などのような中途半端で意味不明な税を廃止し、さらには
消費税を廃止し、ふるさと炭素税に一本化すれば国債を発行しなくて済む」ように、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)を徴収しなくても済むようにする。
電力会社は買い取り費用と回避可能費用との差額を費用負担調整機関から交付される。交付金は再エネ賦課金からあてがわれる。大雑把に表せば、
再エネ賦課金=買取総額ー回避可能費用
もちろん、認定済の再エネ電力については電力会社が形式上、再エネ事業者から認定通りに買い取らざるを得ないだろうが、伝票は電力消費者ではなく、ふるさと炭素税でプールされた炭素交付金基金に回す。言わば費用負担調整機関の代替の役目を担わせる。
そのためには今現在の、回避可能費用の計算方法をふるさと炭素税に合わせて変更する。
これまでは、すべての電源の燃料費などの運転単価の平均値を使っていて、水力発電原子力発電のようなゼロエミッション発電も含めると言う不合理極まりない計算法だった。自然エネルギー財団では、2年前に回避可能費用の計算方法に関する分析を行い、

電力会社にとっては、もっとも単価の高い電源から優先的に削減するほうが経済上合理的

とし、

東京電力が2012年6月に電気料金審査専門委員会で提出した資料によると、「運転単価の安い電源がより高稼働率になるように計画」し、なかでも燃料単価の低い石炭火力については最大限運転し、LNG火力は石炭についで運転し、電力需要の変動に対応させ、残りを石油火力でまかなう」としており、火力発電については運転単価の安い電源がより高稼働率になるよう運用されている。

と批判していた。
ただ、そもそも「経済上合理的」であることがトータルで合理的であるとは限らない。再エネによって変化する電力を調整する調整電源としては天然ガス>石油>石炭の順で調整力に差があるだろうし、日本の場合、化石燃料の大部分は輸入なのでエネルギー安全保障との絡みもあり、結構難しい。
こうした批判を受け、今年3月から火力平均可変費単価を主体に全電源平均固定費も考慮するというようにマイナーチェンジされたが、こういう制度というのはチェンジされればされるほどややこしくなる。
むしろ、回避可能費用を「電力会社が再生可能エネルギーを買い取ることにより、本来予定していた発電を取りやめ、支出を免れることが出来た費用」というよりも「電力会社が再生可能エネルギーを買い取ることにより、本来予定していた二酸化炭素排出を免れることが出来た排出量」に変換したうえで残りの再エネ賦課金分をふるさと炭素税から電力会社に還付すればいい。
こうすれば、回避可能費用をめぐって、ぼったくりだの、いやどうせ原価として電気料金に上乗せされるので同じことだのという非生産的な論争に明け暮れなくてもいい。どうせ、FITが継続している間の移行期間だし、こうした方式の方がFIT廃止が早まるだろう。
そのためには消費税、ガソリン税その他を一括撤廃し、全てをふるさと炭素税に統合すれば、炭素税基金は大きくなり、再エネ賦課金も充分に吸収できる。またその方が国全体の二酸化炭素排出削減につながる。付加的な効果として消費増税のたびに国会が大騒ぎになることも予防できる。
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