電事連2030年CO2削減目標は京都議定書すら下回る


電力、温暖化ガス35%削減 電事連などが共通目標(日経)

原案によると、電力業界は電力販売量1キロワット時当たりの温暖化ガスの排出量を30年度に0.37キログラム程度とする方向で調整している。13年度の排出量は0.57キログラムで、35%削減する計算だ。東日本大震災が発生した10年度よりも減らす方針という。

30年度は正確に表現すると、0.3705キログラム。しかし、「電力業界は15年後の温暖化ガスを大幅に減らす」という日経がグラフに付けた大見出しは嘘八百だ。

電気事業連合会の「電気事業における環境行動計画」(3ページ)によると、生身の排出である「使用端CO2排出原単位」は2010年度で0.413キログラム。2010年度比10.3%削減に過ぎない。
しかも、この数値は京都議定書の第一約束期間2008年から2012年の平均目標0.34キログラムすら上回っている。実質的に京都以降で京都より後退させる方針なのだ。
2030年の原発シェアは20〜22パーセント。2010年度は原発シェアが29%だったことを考慮してもこれは低すぎる。15年後の2030年の話だというのに。
二酸化炭素削減の一般的基準年である1990年度の「使用端CO2排出原単位」は0.417キログラムで、実は2010年度とほとんど減っていない。90年代後半から2000年初めにかけて0.4キログラムを下回ったが以降、再び0.4キログラム以上で推移していた。
2011年の福島第一原発事故以降急騰したが、事故以前も減っていなかった。元々志が低かったのだ。
これからのエネルギーについて皆さまと一緒に考えていきたい。」の資料(4ページ)には、これをグラフ化したものがあるが、1990年度の0.417キログラム以降、順次下がっているように見えるが、下がったのは、「地球温暖化対策の推進に関する法律」で定められた京都メカニズムクレジット等)(以下クレジット)を適用して“底下げ”したからだ。2010年度でも0.413キログラムで、90年度とほぼ同じということは福島第一原発事故以前も全然減っておらず、クレジット漬けで削減努力を全くしていなかったことが分かる。
そして、削減怠慢は今後も持続することが今回の「共通目標」で分かった。1990年から40年間も持続的削減怠慢を続ける気なのだ。そのココロは削減目標の具体的対策は原発再稼働だけで再エネは今もなおほどほどにそれなりにということだ。
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