「固有の領土」ってどんな領土?

livedoor ニュース:[露漁船銃撃]駐日臨時代理大使に抗議 麻生外相 麻生太郎外相は、ロシア大使に対し、「わが国固有の領土だから領海侵犯ではない。見解が違う」などと言ったそうだ。しかし、なぜ北方領土を語る際、枕詞のように「わが国固有の」と付くのだろうか。単に日本領だで済むものを。
これは恐らくproper territoryを直訳して「固有の領土」と称する慣習ができたように思われる。
辞書引いたらproperは「固有の」という意味のほか、「本来の」とか「本当の」「厳密な意味での」「真の」という意味があるようだ。多分、どこかの外交文書で「proper」が使われ、それを機械的に「固有の」と訳したのじゃないだろうか。
しかし、この文書の文脈からして、「本来の」意味のproperは「本来の」であり、「実際にはそうなっていないが、北方領土は厳密な意味での、本来の意味でのわが国の領土」という意味なのだ。
昔から「わが国固有の領土」という言い回しを不可思議に感じていた。「固有種の蝶々」でもあるまいに。
properには「独特の」という意味もあるようだが、60年もの間、実効支配されていて「固有の領土」が建前化し過ぎて、建前の化石のようになてしまった「固有の領土」というのは世界でも独特ではある。
一体、60年もの長きにわたり「固有の」のまんまの領土が本当に「真の」領土と言えるのだろうか。
バブル末期、日本にカネがうなるほどあった時、ソ連が崩壊し、ロシアの経済は破綻じょうたいだった。「今がチャンス、ほっぺたを札束でひっぱたたき、北方領土をカネで買い取ってやればロシアも喜ぶだろうに」と思ったものだ。
バブル崩壊後、買い取った北方領土はインフラが整備されていないから、本土で無駄な公共事業やるよりもよっぽど有益な公共事業になる。政府は買い取った北方領土の土地を民間に売り出せば国債を発行しなくて済むだろう。
そうなっていれば、今頃、結構な観光避暑地になって賑わっていたかもしれない。自然がそのまま残り、温泉もあることだし、魚料理も美味しいだろうし。
しかし、時宜を見るなんてことは日本にはついぞなかった。ただ60年間、お経のように「わが国固有の領土」とマントラを唱え、誰も本気で取り戻そうとしなかった。拱手傍観しているうちにロシア経済は復活し、日本は札束が不足がちになった。もう札束は通用しない。
60年も返って来ないのなら、まず永久に返って来ないだろう。要するに取り返す意志がなかったのだ。評論家の立花隆は「北方領土などあの土地に特別な情動を感じる一部の人には意味があっても、経済的には全く何の意味もない土地で、取り戻す意味などない」と元の住民を動物か何かのように見なして論壇誌で言い放っていた。
この国にしてこの評論家ありだ。
もはや「固有の領土」って「(支配できず、実効支配で)固まってしまった領土」の意味になったとしか思えない。
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