高尾山詣@リハビリ

高尾山に登る。登山と言うよりウォーキング、ハイキングのレベルだけど、結構きつい。体力のリハビリの指標にしようと2年前から始めてこれで3シーズン目、5度目だ。
わずか3年半前までは、近所の高度差20m程度の丘を登るのさえ死にそうな思いだった。完璧に体が錆び付いていて、もう一生運動らしい運動は出来ず、学生時代は3000m級の山を歩いて親しんだ自然に触れるなんてことはないだろうと思い込んでいた。
別に肉体的に問題があるわけでもない。運動したり、酷暑の環境ではパニくるパニック障害と診断されていつの間にかこうなってしまった。運動するとパニック⇒運動しなくなる⇒体力衰える⇒一層パニックがおきやすくなる⇒以下ループ、というわけだ。この悪循環のループを逆向きにしなければならない。
丘には私よりはるかに年配の人たちがスタスタと登っている。中には70歳近いと思える男性がゆるい坂道をダッシュで何度も駆け上がっている。劣等感に苛まれるが、ついついつられるようにマイペースで丘に登る習慣ができてしまった。
最初はカタツムリのようなスピードでとにかく登りつめる。よくウォーキングは速足で歩かなければ意味がないなんて言われるが、そんなことはない。無理しても続かないだけだ。続けるうちにだんだん楽になり、自然と歩足も早くなる。そのうち一番緩い坂のアプローチでは飽き足らなくなり、より急な坂にシフトする。最後は石段一気登りコースも苦にならなくなる。これで半年かかった。
次は高度差100m程度に挑戦するため、あちこち遠征する。2年半前、ついに785段の石段を登る四国の金毘羅宮にわざわざ出かけた。2年前の秋には、松尾芭蕉ゆかりの山寺。こちらは1000段だ。高度差200mくらい。よくここまで復活したものだ、と泣きたくなった。
しかし、これからが本番で、山寺を征服した翌12月、ケーブルカーorリフトなしで高尾山に初挑戦。高尾山といっても、京王高尾山駅から標高差400m。一気に倍の高さに挑戦だ。恐ろしくきつい。ようようケーブル山頂駅までたどりつき、しばらく食堂でジュースを頼んでヘタってしまった。「まだ時期尚早だったか・・・」。しばらく鬱になり、もうこのままケーブルカーで下山しようかと考えたが、30分の休憩で思い直し、トボトボ山頂を目指す。京王の駅を出て4時間、山頂に辿り着いた時は、もう心身ともにへたっていた。やっと登れたという感慨もない。よく途中で倒れなかったものだ。
翌年1月、再び挑戦。今度の所要時間は2時間半。晴れ渡った富士が出迎えてくれた。それでも標準タイムとされる1時間半にはまだ程遠い。その年の11月、つまり昨年秋、紅葉の季節に登る。所要1時間55分。翌12月、所要1時間25分。ついに標準タイムに達する。
そして、今日。寝不足か何なのか、体がたるいので所要時間は考えず、無理せずに登る。なんせ久し振りだから馴らし運転でいいや、という感じだ。本当は上高地が馴らし運転の筈なんだけれども。昨シーズンは全てノンストップだったが、今回はケーブル山頂駅でソフトクリームを買って、しゃぶりながらテレテレ歩く。リフトの駅までがきつく、体が火照っていたせいもある。
山頂到着。所要1時間31分。去年のベストにはわずかに及ばなかったが、気温で15度くらい高く、ソフトクリーム買ってだれて遅れた分を考慮すれば、実質ベストタイムかもしれない。
何度もあちこち登っていると、スーパーお爺さん、スーパーお婆さんとしか思えないくらい健脚な人が一杯いる。こっちは足元にも及ばないヘタレであることを思い知らされる。
しかし、頑張り過ぎるのは怖い。あの、近所の丘でダッシュを繰り返していた男性はこの夏、突然他界した。ウォーキング仲間の話では、それまで元気だったのに、ある夜、自宅でビール飲んで小宴会した後、突然亡くなったのだという。死因は分からないが、「あの年で、あんなきついダッシュして頑張ったら、気付かないうちに疲労がたまったのかもねえ」。
ある程度年を重ねたら、若い時代の、今はない体力を忘れて、スローペースでチビリチビリ楽しむしかない。
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