歴史上最初に訪日した米大統領死去

米フォード元大統領が死去 93歳
"His life was filled with love of God, his family and his country."(Mrs. Ford) 今から思えば、明治維新以来、この人が1974年に来日するまで一度も現役米大統領がこの日の本の国に公式訪問していなかったのだから、日本的には歴史に残る米大統領だ。
以降、カーター、レーガン、パパブッシュ、クリントン、サンブッシュと途絶えることなく訪日していることを考えると、日本がアメリカとequal partner(福田赳夫元首相)と言えるようになったのは、フォード来日以降だろう。
羽田空港に降り立った時、護衛のSPがまず最初にタラップに現れ、射るような視線を投げかける。懐にはいつでも取り出せる拳銃を隠して。彼らにとっても、29年前に叩きのめした相手国に初めて大統領を送り込むことは初体験だった。その14年前、アイゼンハワーが来日する予定だったが、安保騒動で中止に追いやられていたからものものしくなるのは当然だった。今では考えられない緊張だ。
しかし、続いて現れたジェラルド・フォードはアメフトで鍛えた精悍な顔立ちながら、古き良きアメリカを思わせる武骨で実直な態度で、西部劇の主人公がスーツを着たようだった。もう既に60歳を過ぎていたが、その頑健そうな雰囲気に目を見張った。その力強そうな大統領が昭和天皇と会見した際、手の震えが止まらなかったというのだから、ある意味安堵した。
それ以降の大統領を見ると、どれだけフォードよりも実績があってもなぜか軽く見える。地味でメディア受けしなかったし、媚びなかったという点で、歴史上最後の米大統領なのかもしれない。「いい人」は大統領に向かないらしい。「選挙で選ばれなかった唯一の大統領」というのは決して彼を貶めるトピックとは思えない。
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