人類滅亡は海次第@IPCC最悪+6.4C

Warming tends to reduce land and ocean uptake of atmospheric carbon dioxide, increasing the fraction of anthropogenic emissions that remains in the atmosphere. For the A2 scenario, for example, the climate-carbon cycle feedback increases the corresponding global average warming at 2100 by more than 1°C. Assessed
upper ranges for temperature projections are larger than in the TAR (see Table SPM-3) mainly because the broader range of models now available suggests stronger climate-carbon cycle feedbacks.
(IPCC:Summary for Policymakers,Page14) IPCCレポートの実は一番肝心な箇所はここだろう。陸も海も大気中の二酸化炭素のuptake(吸収)を減らしている。このトレンドが続けば、最終的には自然の力をもってしても大気中の二酸化炭素濃度は制御不能になり、暴走することを暗示しているからだ。
人間が大気中の二酸化炭素を制御できる方法は2つしかない。化石燃料の消費を減らすことと陸地の土地利用の変更(land-use change)だけだ。海に植物性プランクトンの増殖を促進するために大量の栄養元素をばらまくという手もあるが、あまりに海が大き過ぎるためにコストパフォーマンスが合わない。
陸地の土地利用の変更は人間の意志次第で何とかなるかもしれないが、海の場合は事実上制御不能だ。例えば、
Faster carbon dioxide emissions will overwhelm capacity of land and ocean to absorb carbon によると、
The oceans exhibit a similar trend, Fung said, though less pronounced. There, mixing by turbulence in the ocean is essential for moving CO2 down into the deep ocean, away from the top 100 meters of the ocean, where carbon absorption from the atmosphere takes place. With increased temperatures, the ocean stratifies more, mixing becomes harder, and CO2 accumulates in the surface ocean instead of in the deep ocean. This accumulation creates a back pressure, lowering CO2 absorption.
海洋の場合、(陸地ほどではないが)類似の傾向が見られる。(波浪などの)海面の乱れが、大気中の二酸化炭素を吸収する浅海に含まれる二酸化炭素を深海に沈みこませるのに大きな役割を担っているが、海面温の上昇で海水がより階層化して(浅海水と深海水の)混合が難しくなり、浅海の二酸化炭素蓄積が高まる。これが背圧になって大気中の二酸化炭素が吸収されにくくなる。

つまり、海洋版“格差社会”で下に分け前が配られなくなるということだ。二酸化炭素を出す方が増えるだけでなく、吸収する方も比例して少なくなると相乗効果でますます暑くなる。そうすると更に二酸化炭素濃度は増え、ポジティブフィードバック・ループ状態に陥る。
研究を指揮しているFungは
"The Earth is entering a climate space we've never seen before, so we can't predict exactly what will happen. We don't know where the threshold is. A two degree increase in global temperatures may not sound like much, but if we're on the threshold, it could make a big difference."
Threshhold(限界点)はどこか分からない。しかし、それがpoint of no return(帰還不能点)になる可能性が高いことを暗示している。何しろ、海は制御不能なのだ。海が暴走し始めたら誰も止められない。暴走してから化石燃料消費をゼロにしても、海自身が二酸化炭素を吐き出し続けるため暴走が止まらない危険がある。この記事には書かれていないが、海水温の上昇自体が海水の二酸化炭素の飽和点を低くして溜め込めるキャパシティが小さくなる。
そして、海水は大気中の60倍程の二酸化炭素を溶かしている。仮に1%を大気中に排出しただけで大気中の二酸化炭素濃度は現在の1.6倍の600ppmほどになる。産業革命以来約100ppm増えたことなどお話にならないくらいの多さだ。
現状では、less pronouncedと控えめだが、これは陸地との比較だから当然だろう。海はあまりに巨大なために見た目の変化が小さいからだ。
今のところ、海洋は人為的排出二酸化炭素の4分の1程度(陸地と合わせて半分程度)吸収しているが、もし、このトレンドが続けば、吸収を止めて逆に排出する可能性すらある。海洋の二酸化炭素吸収域は主に寒冷海域だが、温暖化は寒冷海域ほど温度上昇が高い(IPCC;Page15)ので、文字通り収支が赤字になる可能性がある。赤字が続けば企業が破綻するのと同じで、point of no returnを超える。
もし、IPCCレポートの予測する最悪の最悪のケース+6.4度が現実になれば、point of no returnを越えて、温度は無制御状態で高くなるかもしれない。そうなると、バクテリアはかろうじて生き残るかもしれないが人類が滅びる可能性は高い。
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