バベル(BABEL)

babelバベルの塔旧約聖書によると、神が人間の自己神格化の傲慢を憎しみ人々の言葉を混乱させて罰したとのこと。転じて言葉が輻輳してワケワカメな状態になるさま。そしてこの映画も実に見事にワケワカメで、カオス的だ。これも全て、北京の蝶ではなく、東京の弾のせいだ。
一発の弾丸がモロッコの砂漠を行くツアーバスに命中する。猟銃は東京に住む男のものだ。最初、普通に元赤軍兵士かと思ったら関係なさげだ。ところで、モロッコにハンティングに行く日本人っているんだろうか? 何を狙いに行くんだろう? 猟銃そんな簡単にプレゼントできるんか?
私もモロッコは一応行ったことあるけれど、狙う獲物が思い当たらない。この男、アンタアホヤーだろ。ちなみにモロッコで「アンタアホヤー」と言ったらいたく喜ばれ、握手を求められる。
メキシコ・・・。必要だったかな。そう疑問を感じると、東京だってどうでもよさげに見えるので、疑問は禁句だ。要するに弾丸のせいだ。
ただの悪戯(極めて不自然な)による事故がテロ騒動に発展し、警視庁まで動くという大騒動なのだが、なぜか撃たれたアメリカ人妻も、その子供たちも奇跡的に助かる。大体瀕死の重傷のはずの妻と抱擁するなんて・・・。まるでイラクからの生還みたいなことになるなんて不条理だ。結局、死ぬのは皆モロッコ人というのも不条理だ。なぜか菊地凛子が丸裸で捜査員に迫る。これも不条理だ。バベル⇒不条理⇒カオスと進化した感じだ。
同じ北アフリカを舞台にした「異邦人」のムルソーは殺害動機を「太陽のせいだ」と答えたけれど、太陽のせいで死にそうになるのはメキシコ国境の砂漠だ。あくまで弾のせいだ。
ほかにも同じモロッコが舞台の「シェルタリング・スカイ」とか砂漠が舞台の「パリ、テキサス」とかイメージ重なる映画は結構ある。さすがに「モロッコ」までは行かないけれど。
この作品の良さは映画と観客の間もBABELにしていることだろう。照明の点滅で体調不良起こすのも心配だが、???の連続に眩暈を起こすことも避けたいものだ。
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