アポカリプト(Apocalypto)

apocalyptoWill Durant "A great civilization is not conquered from without, until it has destroyed itself from within," 「文明は外部から征服される前に内部崩壊する」――出鼻でこれが引用紹介されたのは、マヤ文明の崩壊と環境破壊などに直面した現代文明の崩壊をダブらせて欲しいというメル・ギブソン監督のメッセージ。けれど、映画自体はマヤ文明の崩壊プロセスを描いているわけではなく、ジャングルアクション物というべきか、題名からも「地獄の黙示録」(Apocalypse now)が多分に意識された形跡がある。
Apocalyptoは黙示録や破局を意味するapocalypseの語源となったギリシャ語だそうで、uncover、暴露とか啓示という意味。
実際、泥沼からドロだらけの首をもたげるシーンがあり、「地獄の黙示録」を連想させる。「地獄の黙示録」では文明から「闇の奥」へというベクトルだったが、「アポカリプト」では、さながら「文明」が「闇の奥」といった風情で逆転している。闇の奥にあったのは、マヤのピラミッドだった。
マヤ文明の史実とは食い違いが指摘されているようだ。日食(eclipseギリシャ語源は覆い隠すcoverでapocalyptoの反対語のようで意味深だ)になって生贄が中止になるというのも解せなかった。マヤでは天文学が発達し、日食がどういうものかぐらい知れ渡っていたはずだし。
生贄追跡のシーンでは全く別種の現カリフォルニア州知事がエイリアンと決闘する映画「プレデター」を思い出した。血の滴りを手がかりにするとか、川に飛び込んで逃げるとか、やはり全身泥だらけで身を隠すとか、デジャブな感じが一杯。シュワちゃんの人工的肉体じゃなく、こちらのジャガー・ポー(Jaguar Paw、ジャガーの足)役のルディ・ヤングブラッドは野性的肉体派。名前の通り、とにかく走り回る。
そして、追跡劇の果てに見たものは、真の文明の破壊者? ということでメッセージのオチは完結する。
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