インドネシアをCO2排出世界3位にする世銀

インドネシア、焼き畑で森林火災深刻・温暖化防止へ国際支援(日本経済新聞) インドネシアは温暖化ガスの排出量で米中に次いで世界3位だが、多くは森林火災による。
この書き方はまずい。インドネシアが世界3位だなんてことはない。杜撰な世界銀行のレポートを額面通り受け取るべきでない。
ロイター
Indonesia is among the world's top three greenhouse gas emitters because of deforestation, peatland degradation and forest fires, a report sponsored by the World Bank and Britain's development arm said.
Indonesia's total annual carbon dioxide emissions stand at 3.014 billion tonnes after the United States, the world's top emitter with 6.005 billion tonnes followed by China at 5.017 billion tonnes, according to data from the report.
Indonesia's yearly carbon dioxide emissions from energy, agriculture and waste are around 451 million tonnes while forestry and land use change are estimated to account for a staggering 2.563 billion tonnes, said the report, titled "Indonesia and Climate Change: Current Status and Policies".
ちなみに化石燃料起源の二酸化炭素排出量を見ると、「世界の二酸化炭素排出量-国別排出割合-(2004年)」を参照してみると、インドネシアは世界のワースト13にも顔を出していない。実際には14位のようだ。
森林火災・伐採に伴う分を含めると3位という世界銀行のレポートも変だ。どう見てもブラジルがトップ3に顔を出していなければおかしい。
いずれにしても、世界3位とするのはおかしい。森林火災の場合、焼失したらしたで、また草が生え、若木が育つのだから、長期的にはかなりの部分で行って来いの関係にあり、見た目以上に二酸化炭素は排出していない。例えば、この10年でインドネシアで焼失した森林で、その後回復しつつある森林まで世銀はリサーチして、差引勘定しているのだろうか。
第一、森林火災や伐採はカーボンニュートラルだ。つまり、今流行のバイオエタノールと同じ。森林火災は温暖化負荷において、バイオエタノール車と同じで負荷ゼロなわけだ。地球表面を流通する炭素量に影響を与えないのだ。
と書くと誤解されそうなので一応断っておくと、だからと言って森林火災や伐採は放置してかまわないということにはならない。実際、こうした火災や伐採後、どうなるかと言えば、バイオエタノールや石鹸製造のための商品作物畑化だ。land Use Changeによって排出炭素が排出されたままになる。
更に問題なのは、インドネシアを「世界3位」とすることで、結果的に先進国の二酸化炭素排出を小さく見せようという印象操作があるのではないかということ。実はこれが一番大きな問題だろう。同じ排出源でも全く性質が異なる化石燃料と森林をいっしょくたにして発表する世銀の神経が分からない。所詮、世銀は歴史的に世界開発銀行なのだと肝に銘じるべきだろう。
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