ギガ口コミはむしろ広告業界に脅威か

池田信夫 blog:ネットはクリエイターの敵か くわしくみると、スーパースターのCDの売り上げはP2Pの影響で減っているが、無名のミュージシャンの売り上げはP2Pのプロモーション効果によって増えている。現在では、CDの制作費(最低100万円もあればつくれる)にくらべて宣伝費のほうがはるかに大きいので、P2Pはクリエイターに損害を与えているのではなく、特定のミュージシャンに巨額の宣伝費をかけて(音楽的には質の高くない)メガヒットを作り出す現在のレコード会社のビジネスモデルを破壊しているのだ。
30年ほど前、テレビの歌謡番組に出演しないで却って人気が出た歌手がいたものだ。今もいるけれど。
彼らは地道にコンサートに励んだり、ラジオの深夜番組のDJに取り上げられたりしていた。それが口コミで広まった。
今のP2Pとかは恐らくギガ口コミとも呼ぶべきもので口コミ自体がマス化してしまったように思える。ネットの出現で、24時間深夜番組DJ化したようなものだ。しかも伝播速度、伝播量は比べ物にならないくらい早い。今の宣伝の要諦とは、実は宣伝そのものではなくアクセスの容易さ、適切な時宜に目に触れる確率だ。
私的にはYouTubeを見るようになっただけで、今まで知らなかった世界の歌手をたくさん知るようになった。アーチストでないアーチストでさえ楽しめる。知られるアーチストも増えるし、知るリスナーも増える。しかも無料で。
こうなると、レコード会社を含めそれをプロデュースするプロダクション、宣伝に乗せる広告会社という枢軸共同体が自壊を一番危惧しているのだと思う。著作権云々は実は口実とさえ思えてくる。
資本もかけずにスーパースターを生み出されちゃたまらない、というわけだろう。
この構図はどうも正社員、非正社員の逆転のモデルにさえ見えてくる。正社員を雇うのはコストが高い。同じ質、あるいはそれ以上の質のものを宣伝費もかけずにできちゃったじゃ洒落にならない。だから断固潰せ。
実は広告自体はそれほど大変じゃない。広告する価値を出すまでが大変で、それまでのあの手この手の仕掛けなどにえらくカネがかかるのじゃないか。しかし、才能さえあれば、ギガ口コミでここら辺のコストが激減する。まあ、そうな感じなのだろう。
一番困るのはアーチスト自身ではなく、その周りでビジネスしている人たちだろうな。特に広告会社はこうしたギガ口コミが勝手に宣伝してくれる分、自分達の存在価値が相対的に低まる。
彼らがすべきことは著作権違反で訴えるよりも、このギガ口コミを取り込むように動くことだろう。現実にもうそうなりつつあるような気がする。物事は長期的に効率の良い方へと流れる。
著作権問題はいつのまにか雲散霧消し、数年後、あれは一体何だったという思い出として語られるような、そんな気がする。
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