炭素本位制ノート7〜環境経済大国ブラジル

炭素本位制6で示したような形で炭素為替が実施されれば、具体的にどこの国が得するのだろうか?炭素本位制は基本的に「国別対抗」ではないが、結果的に世界的にどう経済地図が変わるのだろうか?
石井孝明の「温暖化とケイザイをめぐって」:京都議定書が壊れる?〜2008年は日本に「決断」が迫られるを読むと、
京都議定書の交渉過程で、数値目標の義務付けを迫られたブラジルの外交官がこんな言葉を残していました。「パーティに後から呼ばれてコーヒーだけ飲んだのに、フルコースの代金を請求されたような気分です」。
という、ブラジル外交官の嘆き節が紹介されている。けれども、炭素本位制が導入されれば、掌を返したように態度を変えるだろう。
ブラジルは炭素本位制の最大の受益国になるからだ。ブラジルが世界に占める森林占有率はおよそ14%もある。ということは、炭素為替で得る利益の14%はブラジルに還流するということだ。
これに輪をかけて恩恵を受けるのは、ロシア。全世界の22%の森林を占めている。京都議定書が守れそうにないカナダも森林面積ではシェア6%で、利益国だ。実はようやく京都議定書に批准したオーストラリアでさえ森林面積が意外に多く、シェア4%で炭素為替では黒字を維持できる。
1人当たりで言えば、アフリカ赤道付近の熱帯雨林国だろう。森林が多い上に化石燃料使用が少ない。
一方で、アメリカはカナダと同じ6%だが、何せそれを上回って余りあるくらいの化石燃料起源二酸化炭素排出国なので世界一の大赤字だろう。しかし、国土面積が大きいことは有利なことで、今後、Land Use Changeをして森林面積を増やせる余裕がある。
中国も、インドも国土面積が大きく、森林面積もそれぞれ4%、2%ほどあるが、いかんせん人口が多過ぎて、赤字になる。インドネシアは黒字になるが、やはり人口が多いので黒字幅は少ない。
どうしようもなく慢性赤字になりそうなのはヨーロッパ諸国、日本、韓国だろう。日本の場合も森林面積の比率は高いが、やはり化石燃料消費がそれを上回って余りある。植林余地も小さい。森林面積を拡大するなら余裕のあるロシアから千島列島まるごと買い取るくらい必要かもしれない。
いずれにしても、国の多さでは先進国を圧倒する新興国の方が有利で、ブラジルやロシアはむしろ発展途上側について発言権を行使する必要がありそうだ。
(Maybe continued)
(関連エントリーリンク)
炭素本位制ノート1
炭素本位制ノート2
炭素本位制ノート3
炭素本位制ノート4〜森林保有は儲かる
炭素本位制ノート5〜炭素金利
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