ボーイング787のジャパンパッシング?

猪瀬直樹東京都副知事によると、次世代旅客機ボーイング787は日本にとってはジャパンパッシングされる脅威なのだそうだ。
日本国の研究 不安との訣別/再生のカルテ:「報告 羽田国際化をめぐる国との協議会」
ボーイング787というのが今度できた。これが怖いんだよ。例えばロサンゼルスから成田で給油してシンガポールに行ってたんです。かつて。それがボーイング787はロサンゼルスから成田に寄らないでシンガポール行けちゃうんですよ。
シンガポールまで18時間、飛び続けられる、そういう新しい時代がね、ボーイング787ができてるわけですよ。
そうするとね、乗換駅がらいない、給油駅がいらなくなるわけですよ。そうするとジャパンパッシングになっちゃいますからね、気をつけないと。よっぽどここに需要があるということ、便利だということを言ってないと、そういうことになってしまいますよ。世界は、フラット化して小さくなってきてます。
(一部省略)
Wikiによると、ボーイング787は航続距離最長で16,300km。地球の円周がほぼ4万kmなので、大抵のところはカバーできる。
確かにロサンゼルス―シンガポール間は成田スルーで飛べる。けれど、なぜそれがジャパンパッシングになるのやら。
中型機としては航続距離が長く、今までは大型機でないと行けなかった距離もボーイング787シリーズを使うことにより直行が可能になる。この事により、需要のあまり多くない路線でも開設する事が可能になるとされている。
とあるように、特徴は中型機で超長航続距離ということ。航続距離最長タイプで259人乗りだ。
実は、このロサンゼルス―シンガポール間、既にノンストップ便が飛んでいる。どころか、ニューヨーク―シンガポール間でも、シンガポール航空が既にノンストップ便を運航している。機材はともにエアバスA340-500で、787より一回り大きい313人乗りの大型機で、航続距離16,000kmだ。大型機では既にこの程度はカバーされているのだ。今更脅威感じてどうするんだよ。
シンガポール航空のダイヤ見れば分かるが、ノンストップ便は1日1便と限られている。でないと集客できないからだ。
こういうジャパンパッシング恐怖症には困ったものだ。逆にシンガポールをパッシングできるケースだって考えられる。ボーング787だと「需要のあまり多くない路線」の、成田―南アフリカ間でも、ノンストップ便運航も可能だ。そうすると、これまで香港、シンガポールなどで乗り換えだったのが、東南アジアパッシングして行けるようになる。むしろ、こうした超長距離型機はハブ空港の価値を相対的に弱めるので、必死に「ハブ空港の地位を日本が奪われる」なんて叫ぶ必要性がなくなってくる。
何かと日本売り論が自虐的に流行しているらしいけれど、馬鹿馬鹿しい話だ。こういう的外れな「不安との訣別」こそ重要だ。
Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングにほんブログ村 経済ブログへ