ミスト

mist公式サイトスティーヴン・キング原作、 フランク・ダラボン監督、トーマス・ジェーンマーシャ・ゲイ・ハーデンローリー・ホールデンアンドレ・ブラウアー、トビー・ジョーンズアメリカ・ポートランド近くの山奥で「史上最大の落雷」と突風という、ハリケーンでも竜巻でもない異常気象現象が襲って停電、通信網もダウンし、村人たちはスーパーに買い出しに集まる。そして、謎の靄に包まれ、舞台設定完了。
けれど、その後はお約束、ご都合主義が目に付き、中だるみさせられる。いくら何でも、閉ざされたスーパー内の「人間ドラマ」が安っぽ過ぎて、「いい加減にしろ」と言いたくなる。まあ、ご都合主義と言えば、靄に包まれ放し自体がご都合主義と言えばご都合主義なのだけれど。
すぐ間近に得体の知れない危険なものがいる、と感じたら、人間はつまらないいがみ合いはしないものだ。ニューヨークで一流の弁護士というインテリが今現在起きていることを馬鹿みたいな偏見で信じようともせず、確かめようともしないのは、文字通り馬鹿みたいな設定だ。大体、あんなことがすぐ隣の倉庫で起きたら、異様な騒音はするは、悲鳴は聞こえるはで皆気づくに決まっている。皆、不安で神経を尖らせている時にだよ。寝ていたわけじゃないだろう。
あの最後の審判婆さんも、退屈なだけ。いくら普段ああいう人でも、「有事」になれば、あんな暢気なこと言っているわけないだろうし、たとえ完全にヒューズ飛んでいても周りの人は相手にしない。
人間は状況、文脈によって是非もない場合、普段の信念や主張を保留する。恐ろしく柔軟性のある動物だから発展してきた。あさま山荘とか、狂信者集団のような特殊な集団ではないのだよ。平均的にフツーの人たちの集まりでこんな「人間ドラマ」が1日や2日で成立するわけないと考えないとしたら、あまりにも浅はかな紋切り型人間論だ。
ご都合主義と言えば、最初の犠牲者が出たとき、なぜ犠牲者が外に出される前にシャッターを閉めなかったのか。ガラス割って鉈取り出す暇あったらさっさと「閉」ボタン押せよ。観客をイライラさせるようじゃ、どうしようもない。
軍人さん、自殺してどうする。事情を告白して闘えよ。あんたらがリーダーにならず誰がなる。どうせ、あのへたれぷりじゃ、怪物の餌食になるんだろうけど。ホント、無様な姿晒しているの見た時、てっきり蜘蛛モンスターが倉庫に侵入したかと思ったよ。
犠牲者が出たのになぜああも性懲りもなく外に出ようとするのか。好都合なことにスーパーだから水や食糧はいっぱいあるし、何が何でも出なければ助かる見込みないという状況ではない。モンスターはシャッターさえ突破できなかったのに。靄に包まれた外に出た方がリスク多過ぎなのは分かりきっている。覆い尽くした靄で人々の判断力を狂わせたなんて言い訳も通用しない。
それからさあ、弾尽きたはずなのにいつどこから補充したんだよ。隣のドラッグストアで弾丸売っていたんか。
それからさあ、ご家族の安否知りたい気持ちは分かるけれど、なんで車でまず自宅に戻るんだよ。そんなことしている場合じゃないだろう。ガス欠心配していた癖に。
それからさあ、虫を巨大化させても揚力と自重の関係考えれば飛べるわけないのよ。もし飛べたら、風圧でスーパーそのものが吹っ飛ぶよ。というか、理論的に巨大化した途端、自重の関係で自爆即死なんだが。もうちょっとモンスターを科学的に考えてもらわんと飽き飽きする。
衝撃のラストは「俺はアホだ! 俺はアホだ!」。自殺サイトや沖縄の集団自決じゃないんだからさあ。
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