いつまでも続くチグハグな地球温暖化論

洞爺湖サミットが迫り、テレビやブログなどあちこちで地球温暖化対策がトピックになっているが、相変わらずチグハグ感が否めない。というかてんでバラバラで議論のエントロピーが増大し、ますます議論自体が温暖化している。
まず地球温暖化は今後、二酸化炭素濃度が増えても水蒸気が既にほぼ100%捕捉し尽くしているので大丈夫なんて言っている人もいる。
二酸化炭素が吸収できる波長というのは、もうすでにほぼ100%近く吸収されています。どうして、少量なのに100%近いかというと、二酸化炭素が吸収できる波長というのは、水分子とかぶっているからです。地球表面に水は大量にあるので、二酸化炭素の影響なんて最初から計算するまでもないのです。by 元大学教員さんのコメント(池田信夫blog:地球温暖化論のウソとワナ)
これはひどい。こんな単純な足し算で温暖化が飽和するわけではもちろんない。大体、常識で考えても、大気と言っても、物質的にはスカスカの層なのだ。第一、地球から宇宙へ放出されるのは対流圏より上の大気層だ。大気の窓というものがあるし、飽和もへったくれもない。
Wikipedia英語版によると、もし水蒸気がなくなれば、温室効果は36%減、もし二酸化炭素が全部なくなれば9%減、両方ともなくなれば45%ではなくそれ以上としている。現実は足し算ではなく量子力学的に変動し、シナジー効果で指数関数的に減る。逆に言えば、二酸化炭素が増えれば足し算以上にもっと急激に温暖化が進むということだ。これが量子力学地球温暖化カニズムの真実だ。
逆方向でも、間違っている考え方が根強い。NHKクローズアップ現代」では省エネ技術がメインだが、相変わらずだ。中国に省エネ技術移転したからと言って、引き算で温室効果ガスが削減されるわけがない。温暖化防止も量子力学的に考えなければならず、そこで電力が減らせても別の場所で使われてしまうので単純引き算は×。
また番組で紹介された北海道電力の取り組み。なぜわざわざ日本で一番太陽エネルギーに恵まれない日本最北端の稚内に実験施設とはいえ太陽発電施設を作るのだろう。北海道なんて一番太陽電池発電に向かない地域なのだから北海道電力が頑張らなければならない理由がない。やるなら沖縄電力とか、降雨量が少ない瀬戸内海沿岸を抱えている中国電力四国電力がやればいい。むしろ、温暖化で北海道なんかは降雨量が多くなりそうだから水力発電所立地適地を探すべきだろう。
水力発電といえば、マル激トーク・オン・ディマンド 日本が再生可能エネルギーを推進すべきこれだけの理由で、飯田哲也環境エネルギー政策研究所所長は再生可能エネルギーの定義では、小規模水力発電を除いてダムなどを作って建設される一般の水力発電は含めないという。なぜかと言えば、建設による環境破壊の点で問題があるからという。
しかも、再生可能エネルギーに関して、「世界から見れば、日本の数値目標はジョークにしか思えない」(MIYADAI.comより)とも述べておられるが、こんな恣意的な定義自体がジョークなのかもしれない。一体、黒四ダムは環境を破壊したのか。ダム造ると環境が破壊されるのなら火山の爆発で堰き止められた磐梯の湖だって環境破壊だが、誰もそんなこと考えない。環境破壊と環境の変化は違うのだ。恐らく、こんな定義は平野が多く、降雨量も少なくて水力発電では不利なEUポジショントークだろう。日本が付き合う必要ないのだ。
温暖化で集中豪雨多発が予想されるのなら、日本ではダムは必要なのだ。風力発電だけでなく、ダム式水力発電は日本の有力なオプションだろう。再生可能エネルギーと言っても、適材適所というものがある。ただヨーロッパのペースにはまっているようにしか見えない。「世界の潮流」という空気読め的な流行り言葉はもういい加減ウンザリする。
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