ダイソン・ツリーはダイヤモンドを産むか?

RealClimate:Freeman Dyson’s selective visionを読むと、物理学者で地球温暖化問題の論客で知られるフリーマン・ダイソン氏がダイヤモンドのなる木ができれば、地球温暖化問題は解決すると言っているそうだ。これが本当のダイソン・ツリーか?
The Question of Global Warming By Freeman Dysonのダイジェスト。
I consider it likely that we shall have "genetically engineered carbon-eating trees" within twenty years, and almost certainly within fifty years.
Carbon-eating trees could convert most of the carbon that they absorb from the atmosphere into some chemically stable form and bury it underground. Or they could convert the carbon into liquid fuels and other useful chemicals.
(中略)
If one quarter of the world's forests were replanted with carbon-eating varieties of the same species, the forests would be preserved as ecological resources and as habitats for wildlife, and the carbon dioxide in the atmosphere would be reduced by half in about fifty years.
15年以内にはほぼ確実に「炭素を食べる木」が遺伝子工学によって作られるだろう。「炭素を食べる木」は大気中から吸収した二酸化炭素の大部分を化学的に安定した形態に変えて地下に埋めるか、あるいは液体燃料などの役立つ化学物質に変えるようになる。
もし、世界の森林の4分の1がこのような何種類もの「炭素を食べる木」に植え直されれば、森林は生態学的資源と野生動物の生息地として保存され、大気中の二酸化炭素は15年以内に半減するだろう。

あな恐ろしや。本物のダイソン・ツリーは、彗星上で成長することのできる木のような架空の遺伝子組み換え植物だそうで、外部太陽系に人類の自給自足の居住地を提供できるそうだ。
今回の「炭素を食べる木」は、その地球温暖化版(もっとも、ダイソン氏は「地球温暖化」という用語は実態を表していないと反対している)らしい。
それにしても「炭素を食べる木」というネーミングが凄い。およそ地球上のありとあらゆる木は「炭素を食べる木」なのだけれど。どうせなら、「生態系を便秘にする木」の方がより実体を表しているだろう。こんな木が本当に世界の森林の4分の1を占めてしまえば、動物が飢えるは、生態系は滅茶苦茶になるはで、恐らく残りの4分の3は枯れて消滅の危機に瀕するだろう。枯葉の代わりにダイヤモンドだらけになれば、そうなるだろうさ。ダイヤモンドの価格が暴落するのはこの際、置く。
もちろん、本人は「ダイヤモンドのなる木」などとは言っていない。「化学的に安定した形態」のことを評者のDavid Archerが、
Therefore if the trees could simply be persuaded to drop diamonds instead of leaves, repairing the damage to the atmosphere could be fast, I suppose.
と、からかって言っているだけだ。ちなみにダイヤモンドは炭素の塊だ。
驚いたのは、15年以内に大気中の二酸化炭素が半減できるという。もし、そうなれば、一気に超氷河期になり、下手すればスノーボールアースにもなりかねない。
困った人だ。この方、理論物理学の世界的権威で、日本のしょぼい地球温暖化懐疑派など及びもつかないくらい気宇壮大なトンデモで楽しいのだけれど。御年84歳でトンデモスピードがとっくに地球脱出速度を超えている。いわゆる老人性○○○なのかもしれないが。
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