牛乳の定義の自由化を

牛乳よ、お前もか 供給不足、再値上げの可能性(朝日) 牛乳が品薄になりそうだ。酪農家の廃業や乳牛の飼料高騰が響き、北海道を除く46都府県で原料となる生乳の生産が減少している。乳価の再値上げの可能性もある。品薄が続く家庭用バターに続き、家計や学校給食に影響を与えそうだ。
飼料高騰に対処する方法がある。牛乳の定義を改正することだ。
乳等省令によると、
牛乳 - 生乳100%、成分無調整で殺菌したもの、乳脂肪分3.0%以上、無脂乳固形分8.0%以上
だ。これを、
牛乳 - 生乳100%、成分無調整で殺菌したもの
と定義しなおせばいい。生乳とは、牛から絞った状態の生の乳のことだが、実質、生乳を殺菌したものと改めればいい。そもそも脂肪分何%かなどは畜産農家と乳牛メーカーが決めればいい。
その他、省令には
特別牛乳 - 限定された牧場および処理施設(特別牛乳さく取処理業の許可を受けた施設)で作られる牛乳、乳脂肪分3.3%以上、無脂乳固形分8.5%以上
成分調整牛乳 - 生乳100%、成分調整して殺菌したもの、無脂乳固形分8.0%以上
低脂肪牛乳 - 生乳100%、成分調整して殺菌したもの、乳脂肪分0.5%以上1.5%以下、無脂乳固形分8.0%以上
加工乳 - 生乳、牛乳のほかに脱脂粉乳やバターなどの乳製品を原料として製造、無脂乳固形分8.0%以上

と、ややこしく定義されている。こんな定義は日本人がまだ栄養不足の時代、牛乳の品質を管理するためのもので、メタボばやりの昨今、省令でわざわざ詳しく栄養価を定義する意味はもはやなくなっている。
むしろ、メタボ時代にふさわしいのは生乳のままで低脂肪な牛乳だ。日本で最初に低脂肪のローファットミルクを開発した高梨乳業のローファットミルクの乳脂肪は100mlあたり0.9グラムだ。つまり、0.9%なので正式に牛乳と名乗れない。
乳業メーカーとしては、「牛乳」と名乗って売る以上、省令を守るために畜産農家に3.0%以上の生乳を要求せざるを得ない。このため、牧草だけでなく、高栄養価の穀物をを飼料に使わなければならない。「牧場で取れた新鮮な牛乳」というのは幻想で、穀物飼料たっぷり牛乳なのだ。
以前、阿蘇山に旅行した時、阿蘇の草原で放牧されている赤牛は昔は牧草だけで生乳を作っていたそうだが、あんな広々とした草原で放牧しても、乳等省令の「牛乳」として売るには牛舎で穀物を与えなければならないと聞いたことがある。
低脂肪だろうが高脂肪だろうが「牛乳」であることに間違いないのだから、即刻乳等省令を改めて、「牛乳の定義の自由化」を実施すべきだろう。それだけで、飼料高騰による打撃は大幅に緩和されるだろうし、牛乳の値上げも抑えられる。日本全体のメタボ対策にもなる。それどころか、トウモロコシの高騰の緩和にも少しは役に立つだろう。
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