自給率向上阻止したい自民党親中派の本音

農水次官、コメ生産調整「今後も必要」(日経) 農林水産省の白須敏朗事務次官は2日の記者会見で、町村信孝官房長官がコメの減反(生産調整)の見直しの必要性に言及したことについて、「主食用のコメの生産調整は今後も進めていく必要がある」と述べた。生産調整をやめた場合の影響については「コメの価格が下落し、担い手(の農家)が打撃を受ける」と指摘。主食用のコメを増産する考えがないとの見解を示した。
町村信孝官房長官が5月31日に「世界で食料不足の国があるのに日本でコメの減反をしているのはもったいない話だ。減反政策を見直していく必要があるのではないか」と発言したのを受けたものだが、そもそも町村長官は、コメを増産しろ、と言った訳ではないだろう。
町村長官の発言は「政府は約40%の食糧自給率を45%にしようとしているが十分なのか。5割、6割を目標にしなければいけない。」(朝日)と、自給率向上が主眼だ。それをの加藤紘一自民党食料戦略本部長は「コメは余っているからこそ、大豆や小麦を作らなければならない。減反を見直せば、コメ一俵は6000円に下がる。農業は米というこびりついた発想だ。海外に援助しようとの考えだが、自分で自給できず生活保護を受けている家が、町内の祭りに10万円寄付するような話でとても考えられない」(産経)と、町村発言を「コメの援助輸出」に話を摩り替えている。
確かに町村長官は「私の地元北海道ではコメができる場所(水田)の半分は使っていない。世界で食糧不足の国があるのにもったいない」と発言しているが、コメを増産しろ、と言ったわけではなく単純に減反政策で休耕地が放置されていると言ったのが趣旨だろう。コメができる場所=コメしかできない場所、ではない。
加藤氏は「大豆や小麦を作らなければならない」と言っているが、補助金目当ての格好だけの「捨て作り」については、知っている癖に何も言わない。
4年ほど前、長野県の友達に農村を案内されたら、ソバが収穫期を過ぎているのに立ち枯れたまま。「収穫しても手間だけかかり収益出ないから植えるだけで放置している。転作奨励金をもらうため形だけの転作」という説明にもったいない話だなあ、ということになった。これを業界用語で「捨て作り」というらしい。補助金をもらえる基準が収穫量ではなく作付け面積だから、単なるアリバイ耕作なのだ。今もそうしているんだろうか。
長野県と言えば信州蕎麦で、当然収穫しているかと思ったら、地元産の本物の信州蕎麦は2%程度のようで、大部分は輸入品か北海道産だ。長野県の蕎麦の生産は約2000トンで北海道の8分の1。(参考)対して中国からの輸入は7万トンとスケールが違うので長野県でさえ蕎麦作っても太刀打ちできないのだ。
そもそも蕎麦は世界的にはマイナーな穀物で生産高は世界全体でもせいぜい250万トンだ。日本での生産は3万トン程度に過ぎないが、これを5倍に増やせば蕎麦は自給できる。その気になれば、今すぐにでもできる一番簡単な自給化さえやろうとしない。長野県の蕎麦でさえこうなのだから、他の農産物は推して知るべしか。
これと同じようなことが全国で行われきたのだから、転作奨励金は景観保護事業のようなものだ。加藤氏のお膝元の山形県だって事情は似たようなものだろう。自給率を高めるいい機会なのに、それに水を差すような発言を自らしている。よほど自給率向上が都合の悪いことらしい。「コメ」に拘っているのはどちらなのか。
食糧サミットに臨む福田康夫首相に至っては「減反しないで済む、若い人コメ食べて」(iza)は全くトンチンカン。人口がこれから減少しようとしているのにコメまで若い世代にしわ寄せしようという耄碌的発想が信じられない。むしろ高齢者は蕎麦好きだろうからまず蕎麦の自給だろう。大体、福田首相のお膝元、群馬県の観光土産店で売られている「ふるさとの農産物」ってほとんどは中国産なのだから。そして福田首相も加藤氏も親中国派なのだから、どうにもならない。中国だって、いつまで農産物を日本に輸出できるか分かったものじゃないのに間抜けな話だ。ちなみに町村氏は、どちらかと言えば反中国派だ。
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