神様のパズル

kaminopuzzle公式サイト機本伸司原作、三池崇史監督、市原隼人谷村美月松本莉緒田中幸太朗岩尾望黄川田将也石田ゆり子若村麻由美。一卵性双生児の兄弟がたまたま性格的に非対称であったために天才美少女の精神が崩壊し、晴れ渡った夜空のような愛が芽生えるという奇跡の宇宙物理ラブコメディ。
双子の弟・喜一が海外に出かけ、寿司屋で修行中の兄・基一(ともに市原隼人)が、喜一になりすましてニセ学生になり、ゼミに出てこない穂瑞沙羅華(谷村美月)を呼び出すように担当教授(石田ゆり子)に頼まれる。
沙羅華は新型のエネルギー加速器の考案者で天才の誉れ高い少女。人工授精で生まれた沙羅華は表情が乏しく笑わず、声に抑揚がなく、いつもジャージ姿で色気なしモード。要するにエネルギー的にニュートラル。けれど、それは周囲に引き付ける物体が存在しなかったからで、何か異物が近づけば潜在エネルギーが励起されて放出されることがある。
その異物というか非対称的人物が基一というわけだ。もし、この役回りが弟・喜一ならビッグバンは起きず物語は創造されなかったろう。プラスのエネルギーしか持たない喜一は超々プラスエネルギーを持った沙羅華を動かすことができない。マイナスエネルギーの基一でしか無理なのだ。とまあ、こんな具合に物語も映画内で展開される物理学の講釈をなぞるように進む。原作では双子でないそうだが、この改編は大正解だろう。
物語に絡められたキーワードは渦巻き。のっけから台風の渦巻きを見せられ、銀河系の渦巻き、料理ネタの鳴門巻き。そして、沙羅華がエロサイトまで利用したのは情報・エネルギーを一極集中させて渦巻き(宇宙)を創ろうという試みだった。これ、クラウドコンピューティングの一種だろうか。対称的に台風の渦巻きもやって来た最中でかなり凝っている。
マルチ・ユニバースのパロディのような弟・喜一は宇宙物理学の原初形態のようなウパニシャッド哲学の地インドに辿り着くが、そこで見たのはシタールを演奏する老人。何か、ビートルズのインドとの出会いを思わせ、それがまた基一のロック・ギターでベートーベン演奏と対称をなしているようだ。寿司屋もアインシュタインが来日した際のエピソードと絡められている。
けれど、これらのエピソードは対称が崩れていないために、物語に彩りは添えても、物語を駆動するエネルギーとは成り得ないことも計算ずくか。
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