たみおのしあわせ

tamio公式サイト岩松了監督、オダギリジョー原田芳雄麻生久美子小林薫大竹しのぶ石田えり忌野清志郎。これは決してオクテの男の結婚物語ではなく、色々な意味で世間の監視の目に晒され、それを警戒してはいても、その目に耐えられず逃走する父子の物語。
それは冒頭にいきなりデパートの屋上らしきシーンで現れる。ボール遊びに興じていた母子のボールが父伸男(原田芳雄)と息子民男(オダギリジョー)に転がってくる。母は礼を言ってボールを父から受け取るが、その後「変な父子」風にチラチラ様子を窺う風情。民男はそのことを敏感に感じ、伸男は考えすぎと諭す。
伸男と社員雪江(大竹しのぶ)の関係を監視する同僚部長。民男と瞳がお見合い中に喫茶店で、席の傍にあるどこにでもありそうな金属蓋を気にするシーン。盗聴妄想なのか。タバコを忘れたふりして伸男と瞳(麻生久美子)の様子を窺う元愛人の宗形(石田えり)。極めつけは、実は父子の住居の屋根裏には、死んだ妻の兄透(小林薫)がこっそり住んでいて二人を監視している。透は手際よく近所の人たちを囲い込み監視網を築いてしまう。
そんな監視網の中で唯一頓着してなさそうなというか、気にすることをあきらめている風情の瞳。麻生は本当に「純喫茶磯辺」から平行移動してきたかのような似た役柄。ちなみに元医院が絡むからだけではないけれど原田芳雄も「歩いても 歩いても」と似た役柄ではある。
実際、麻生演じる瞳のいい加減さはここでも大いに発揮され、見合いの1日目で瞳はOKを出す。瞳は携帯電話嫌いで、その理由はくどいということか。しかし、彼女はここでも頓着しなさ過ぎで自分でも「私をよく見守ってね。私タコ(蛸+凧)だから糸が切れるとどこに飛んでいくか分からない」と破局を予言している。彼女は別に民男が気に入ったから婚約をOKしたわけではないのだ。
携帯電話のエピソードは別にあって、それは忌野清志郎が務めている。彼は人と会っている最中でも平気で席を外し、携帯を使う。相手が文句を言うと、「それならもっと面白い話題を提供しろ」という。「友達失うぞ」と言われるが、現実に「友達失う」羽目になるのは恐らく文句言った相手の方だろう。おしゃべりの輪≒相互監視から逸脱すると、「友達失う」ことになる。
ラストは「卒業」のズッコケ版を見せられたような感じだ。
Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングにほんブログ村 映画ブログへ