崖の上のポニョ〜地球史の御伽噺

ponyo公式サイト宮崎駿監督。人魚姫というよりも、何かその一寸法師と、浦島太郎というか逆浦島太郎と、竹取物語などを掛け合わせたような作品。
玩具の船が大きくなるなんて、きっと一寸法師の打ち出の小槌の発想だろう。ポニョ自体もジャムの空き瓶に体突っ込んで動けなくなるほど小さいのに、大きくなって恋の成就と相成る。
その窒息死寸前のポニョ、人間の少年宗介に助けられるわけだけれど、浦島太郎に助けられた亀と同じというか。ただ、竜宮城がユートピアじゃなくてディストピアになっているところがミソ。ポニョは陸に上がりたいのだ。それから玉手箱を開けたらというノリで老人の介護施設も出て来るところがまたうまいというか。
大体、空き瓶というのが竹から出てきたかぐや姫というか。となるとお月様との絡みもあって、やたらでかい不気味な月が出ている。実は急激に海面上昇するのは急激な地球温暖化による海面上昇のためではなく、観音様というかグランマンマーレが月の軌道をいじくって地球に近づけたらしく、超々大潮が起きたのだ。当然、地球の反対側は逆に超々干潮になっているはずだ。
それから魚の群れが大波化するようなシーンは出雲神話の「いなばのしろうさぎ」のワニもしくはサメからヒントを得たようなところがある。
デボン紀古代魚が出て来るが、そもそもデボン紀とは魚類が急速に発達した時期で両生類も初めて出現し、動物が陸に進出した時期。つまり人面魚ポニョと重なるわけだ。ポニョのモデルは恐らく両生類のウーパールーパー(アホロートル)と思われる。「母なる海への回帰」というテーマぽいが、実はポニョとは生物の発展への意志、ひいては文明への意志とも取れる皮肉が隠されているようにも見える。
ちなみにあのデボン紀の甲冑魚、恐らく、冒頭に出て来る海底の産業廃棄物の「大漁」からトランスフォーマーされて作り上げられたものに相違ない。どう見ても甲冑魚って機械仕掛けのロボット魚という印象がある。
というわけで、背景に地球環境の歴史があり、日本の古典的御伽噺をベースにして現代風にアレンジしたというのが真相のようで「アヴァンギャルドな悪夢}(たけくまメモ)というのは考え過ぎというか、まあそういうことだ。
結構、お勉強しないと分かりづらいので、子供の反応もイマイチのようだけれど、かといって大人にも受けそうになさげで、意外とこける可能性アリかも。
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