イントゥ・ザ・ワイルド

intothewild公式サイト。 ジョン・クラカワー原作、ショーン・ペン原作、エミール・ハーシュマーシャ・ゲイ・ハーデンウィリアム・ハートハル・ホルブルックキャサリン・キーナーヴィンス・ヴォーンジェナ・マローンクリステン・スチュワート、ブライアン・ディアカー。人間嫌いのジョージ・ゴードン・バイロンヒューマニズムレフ・トルストイって読み合わせが悪く、その結果、中毒を起こして死に至ることもある、という話なのかもしれない。
「キャリアは20世紀の遺物」と言い放って、ハーバード・ロースクールの道を捨てて、アラスカに消えた青年。ラストではモデルになった現実の青年の写真も写される。何か遅れて来たヒッピーという感じで、実際にアラスカに行くまでの過程で元祖ヒッピーのなれの果てのような人たちと交流している。
その中でとりわけ、キャサリン・キーナーが出色で、矢野顕子を思わせる風貌と笑顔に自由と若さから次第に老いと現実に直面する憂愁が表れているように思える。後輩というか自分の息子のように主人公のアブナサを見つめる目が優しい。オーマイゴッド温泉だとか、彼らが生息する名所がまだあるというところも見所。あのロズウェルもそうなのか。
先輩たちは、ある意味居心地よさそうな自然にとどまったのに、彼はなぜアラスカを目指したのか。より純度の高い自己放棄を目指したのだろうか。彼の語っていることは絵に描いたように青臭いのだけれど、人間嫌いの純度はより高くなっていて、先輩たちは戸惑い、それゆえに愛しがっているようだ。
ちょうどコンピュータゲームのようだと称された湾岸戦争の時代。ベトナム戦争世代のヒッピーとは違う汗臭さもない第2世代のサイバーゲーム感覚的ヒッピーのようでもある。実物の写真は絵に描いたような好青年なのだけれど。
それにしても、なぜ弾が尽きれば役立たずのライフルで、もっと素朴で持続可能な釣り道具は持ってなかったのだろう。目の前に川が流れているというのに。ここら辺、現実的行動というより宗教的行動に近く、しかも間が抜けている。文明を捨てると言い放って、中古のダットサンを捨て、紙幣も捨てながら、ヒッチハイクにバイトって、支離滅裂。
一体、彼はあのマジックバスで何をしようとしていたんだろうか。そこにあったのは偽の自己放棄、偽の文明否定。生の自然に向き合って、そう悟ったとき、彼はキリストのように痩せこけ、美し過ぎる自然に処刑される。
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