ウォンテッド+イキガミ&生活維持省

wanted公式サイトマーク・ミラー/J・G・ジョーンズ原作のコミック“Wanted”の映画化。ティムール・ベクマンベトフ監督、アンジェリーナ・ジョリージェームズ・マカヴォイモーガン・フリーマンテレンス・スタンプトーマス・クレッチマン。最近、話題の「イキガミ」盗作説に接してこの映画を見ると、これも米国版イキガミの物語じゃないかと、ワケワカメになってしまう。
イキガミ」騒動のニュースは、
イキガミ:星新一さんの「生活維持省」と類似 遺族が抗議(毎日) 27日から同名で公開される映画の原作漫画「イキガミ」(間瀬元朗さん作、小学館発行)が故星新一さんの小説「生活維持省」に似ているとして、星さんの次女マリナさんが同社に抗議していたことが20日、分かった。星さんの公式サイトでマリナさんが明らかにした。
 「生活維持省」は、国の人口抑制策として、男性公務員が無作為に選んだある家族の娘の命を奪うという物語。「イキガミ」は、死を告げる男性を主人公に、宣告された者がどう生きるかをテーマにする。マリナさんは、「イキガミ」の物語の一部が、「生活維持省」で娘が殺される方法と類似していると指摘した。
 小学館も同じサイトで見解を掲載。「作者も担当者も『生活維持省』を読んでいない。類似点が見いだされたとしてもまったくの偶然」などと説明している。

とのこと。
偶然なのか、「ウォンテッド」も漫画が原作で、2003年から翌年にかけての連載で、過去のコミックのキャラの寄せ集めのような作品らしい。漫画「イキガミ」は2005年連載開始なので、時系列的には「生活維持省」(1960年)⇒「Wanted」⇒「イキガミ」の順になる。「イキガミ」のベースとされる「リミット」は2004年8月。
本映画の場合、1000年も続く秘密暗殺組織「フラタニティ」が「1を倒して1000を救う」という教義に則り、布地に隠されたコードで指定された対象者を暗殺し、「世界の秩序を維持」するのだから、基本的に発想は「生活維持省」と同じ。公務員か秘密組織か、殺し方のの違いかだろう。「イキガミ」は戦争中の「赤紙」のもじりで、本人通知、「生活維持省」も類似。こっちは、いきなりドカン。「イキガミ」はまだ観ていないが、「国家繁栄維持法」に疑問を持つ者も処分されるらしく、コードに疑問を持つ者が狙われる「ウォンテッド」に似てなくもない。
また、「ウォンテッド」では、父の形見の銃「イマニシ」って唐突に出てくるが、ここら辺、日米相互交流を感じさせるのがなんとも。おまけにスーパー温泉療養施設のようなものまであり、かなり日本的。大体、ウェズリー(ジェームズ・マカヴォイ)が「アイム・ソーリー」を連発するというのは日本人の「スミマセン」を揶揄している感もある。
そんなこんなで、かなり戸惑ったが、まあ、発想的には、誰しも一度は妄想しそうなことではある。食糧難の昔は赤ちゃんの間引きなんてことも行われていたし、全て星新一がオリジナルなんてことはありそうにない。それぞれヴァリエーションがあり、時期的な共鳴でもあるんだろうか。
で、こっちの映画、多段弾丸とか、魔球弾丸?とかどんどんアイテムが「新次元」化している。スローモーションと早送りのようなスピード感が混在していて、どこまでを追求するのかとか、行き着く先はどうなってしまうのかとか考えてしまう。人間と超人との垣根が外されて何でもアリ化しているような。それを象徴するのが、窓ガラス突破シーンの多用(写真↑)だろうか。
またウェズリーがパニック障害という設定だが、上司にガミガミ言われてパニック発作になるというのは誤解に基づいているように思える。パニック障害はもっと内面的なトラウマに起因するもので、他人が見て因果関係を明白に理解できるようなものではない。
Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングにほんブログ村 映画ブログへ