協調利下げの副作用

日経平均、一時下げ幅1000円超す 先物市場で取引一時停止(日経) 下げ幅は一時1000円を超え、取引時間中としては5年4カ月ぶりに8500円を割り込んだ。日経平均先物には米同時テロ直後の2001年9月12日以来となる「サーキットブレーカー」が発動された。
NY株急落、9000ドル割れ ダウ終値678ドル安の8579ドル(同) 前日にポールソン米財務長官が金融機関への資本注入を示唆したことなどを好感して大きく上げて取引が始まったが、金融危機を発端とする世界的な景気後退懸念は根強く、取引終了にかけて大きく売り込まれた。
米欧同時利下げの舞台裏、米紙が報道 中核は「3人組」(同) 「一斉行動」で市場にインパクトを与えられないかと協議した。中でもバーナンキ、キング両氏は学者として米マサチューセッツ工科大学(MIT)経済学部に同時に在籍し、気が合う仲。5日夜までには大筋合意した。
今の動かない、動かしようのない日銀政策金利0.5%とそれ以外全部の国の協調利下げで日本vs.日本以外全部との金利差が一気に縮小し、大きな副作用が起きたのではないか。
池田信夫blog:コーディネーションの失敗 主要国の中央銀行(日銀を除く)が協調利下げを発表した直後に、世界の株式市場は「9月危機」以来最大の下げ幅を記録した。
これ、直後というより直前からだと思うけれど、原因として考えられる直接的な理由は、8日の欧米、そしてアジアの9日の協調利下げによる為替の大幅変動があると思う。「コーディネーションの失敗」というなら、為替取引崩壊リスクとのコーディネーションが直近の失敗だろう。
協調利下げによってFX取引や円キャリートレードレバレッジも一気に解消され、痛手を負った投資家が多く、損失の穴埋めに株が売られて、利下げ効果が一時的に相殺されるどころか、ますます株売りを加速させる結果になったのではないか。
そもそもFXや円キャリは各国通貨間の金利差が大きいほど盛んになり、稼ぐにしても損をするにしても大きいと思う。
それが日本以外全部利下げすれば、パニックだろう。利下げの結果、為替の損失がさらに株価を下げるという皮肉な結果になったということだろう。そうでなければ、協調利下げ(恐らく6日ごろから)観測が出た途端、世界の株式市場であれほどのパニック売りが出た説明がつかない。専門家筋では、利下げ幅が想定内の0.5%だからインパクトがなかった、事態の深刻さを認識していないという声もあったけれど、もし、もっと下げ幅を大きくしていれば、為替市場はさらにパニックになり、それが感染して株式市場はより以上のパニックになっていたかもしれない。今後、この株価暴落を受けてさらに利下げすれば、さらに株価が下落するという悪循環に陥りかねない。恐らく金利差が「適正水準」まで縮小するまで。いずれにしても、このパニックは一時的なもので、どうしても通らなければならないプロセスだろう。
これも、そもそも日銀が金融危機になる前にもっと利上げしてこなかったのが原因だ。欧米が2005年前後から利上げ続けていたのに、日銀だけが利上げを行わず、日銀の金利正常化プロセスは2年ほど遅れていた。もし、遅れがなかったら、今頃、日銀の政策金利は1.5〜2.0%ぐらいになっていて、そもそもここまでの金融危機すら起きていなかったろう。多少のバブルは起きていたろうが、その崩壊規模は数分の1ですんでいたはずだ。
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