ハッピーフライト

happyflight公式サイト矢口史靖監督、田辺誠一時任三郎綾瀬はるか寺島しのぶ吹石一恵田畑智子笹野高史岸部一徳。タイトルやCAの華やかさを前面に出した触れ込みと裏腹に台風の中を不具合が生じたボーイング747-400が緊急着陸するというかなりアンハッピーなフライトの物語。
映画では全日空のホノルル行きチャーター便が離陸後2時間ほどで不具合が生じ、羽田空港に引き返すがあいにく台風が接近し、非常事態宣言が発せられ緊急着陸されるという設定。思い起こせば、1999年4月29日、成田発ホノルル行き全日空ボーイング767型機がエンジントラブルで引き返している。(参照)その時はエンジン1基だけの片肺飛行だったけれど、多分、過去の色々な事故を組み合わせてストーリーを作っているんだろう。
映画で「400年毎日乗ってやっと墜落に遭う確率」という台詞があったけれど、つまり15万回乗って1回落ちる程度ということになる。
Fatal Event Rates for Selected Airliner Modelsによると、ボーイング747の致死的事故率は昨年末現在で100万フライトあたり0.76回。つまり、132万回に1回だから、台詞よりさらに10分の1近く落ちる確率が低いことになる。しかも、この数字は747全体の平均で映画に登場する747-400は古いタイプでなくテクノ・ジャンボなので確率は更に低い筈だ。
けれど、これぐらいの不具合ならもっともっと確率高い。私も全日空ボーイング767で羽田着陸寸前突然エンジン音が急に大きくなって再上昇し、ゴーアラウンド東京湾上空を旋回する羽目になった。女性パーサーが「ただいま、着陸を中止しました。同機はしばらく東京湾を旋回します。情報が入るまでシートベルトを付けてお待ちください」とアナウンスした。しばらくすると、機長が「計器に不具合が発生しました。再度着陸を試みますが、我々は十分訓練を積んでおり着陸に自信があります」なんてアナウンスした。
アララやばそうとは思ったが、天気も悪くないし、いざとなれば手動、目視オンリーで着陸するんだろう。とは言っても、やっぱり変なこと想像してしまうが、数十分後、何事もなかったかのように着陸。乗客から拍手が出るほどでもなかった。
この映画では乗客から拍手がわいたが、かなり大袈裟に設定されてはいるとは思う。ホノルルまでは所要7時間程度、途中で引き返して経過時間5時間程度なのでまだ2時間上空で待機して台風通過を待っても余裕のはずなんだろうけれど。主翼のスポイラー上げて急降下しても、そんなに揺れないと思うけれど、映画では乱気流に入ったかの如くだ。
とはいえ、イメージ的に悪い緊急着陸、その他ドロドロした職場の人間関係の映画化にOKを出した全日空はななかなか偉い。むしろ、色々な事故や航空会社問題点を活かしてより安全な飛行を実現するというフェールセーフに努めていますという宣伝になっている。シアトルのボーイング社でも試写会が行われ、賞賛されたそうな。もう一つの日航の映画は観なかったけれど。
蛇足。イントロでいきなり字幕が“Ladies and gentleman”はないだろう。
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