青い鳥

aoitori公式サイト重松清原作、中西健二監督、阿部寛本郷奏多伊藤歩井上肇。いじめ自殺未遂事件で世間を賑わした中学校に代理で赴任した謎の臨時教師村内(阿部寛)。単に吃音がひどいということでなく、全体的風体に不気味なものがあり、ある面ホラー的雰囲気すら醸し出している。
長身の阿部が校舎屋上に佇んで校庭を見下ろしたり、転校した自殺未遂の生徒の机を下に戻させて毎日「おはよう」と言うとか、職員会議で挨拶をすっぽかしたり、お昼の弁当はでかい玄米のおにぎり2個とか、通勤のバスの中では石川啄木詩集を読むとか、ディテールが凝っている。これで村内が単にどもりという障害だけでなく、それ以上の深い傷を持った人間であることが生徒たちに感じられるはずだ。学校のいじめ問題というより、変な学校の先生の問題がテーマという雰囲気さえある。
実際、生徒たちの反省文は何度も書き直されて当たり障りないように改竄され、「青い鳥ボックス」という偽善的な悩み事相談とか、早く沈静化することばかり考える、校長と教頭とかは、村内のアウトサイダー性を際立たせるために存在するかのようだ。
それだけに寡黙だった村内が終盤でやや多弁になるのは惜しい気がする。他の方法で表現できなかったものか。最後まで寡黙を通し、生徒たちには変わってはいたが記憶に残る先生のままで消えて欲しかった。
現実問題として、生徒の自殺未遂でマスコミがあんなに大騒ぎすることは有り得ないので不自然ではある。実際に自殺して初めてスキャンダルになるが、自殺設定でも良かったはずだが。
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