Boy A
公式サイト。 ジョナサン・トリゲル原作、 ジョン・クローリー監督。アンドリュー・ガーフィールド、ピーター・ミュラン、ケイティ・リオンズ、ショーン・エヴァンス。 原題を直訳すれば「少年A」。文字通り日本語でもピタリと当てはまる。タイトルを邦訳すると、日本にも当てはまる人がおり、生々し過ぎるからだろうか。
ストーリーは、イギリスのリバプールで1993年に現実に起きた2人の10歳の少年による幼児誘拐殺人事件のジェームス・バルガー事件をベースにしている。10歳なので実際にはChild A、Child Bと呼ばれた。現実でもマンチェスター・イヴニング・ニューズ紙が2人の釈放と新しい身分をスクープしている。犯行は日本の酒鬼薔薇事件より残虐でしかも年齢もはるかに若い。
現実には18歳で釈放されているが、映画では24歳。共犯者Bも2000年に刑務所で自殺している設定らしく、たびたびそのシーンが元Aのジャック(アンドリュー・ガーフィールド)のフラッシュバックとして挿入される。ジャックは真面目に更生し、真面目に働き、恋人もできて、人助けもするのだが、決定的に暴露されるのは今風にネットを通じて。しかも同じ年頃のヒキコモリ青年のやっかみから。
ただ、現実を元にしているので、ドキュメンタリーでもなく、かといって完全なフィクションでもなく、映画としてはやや中途半端感は否めない。どうしても現実の事件から跳躍できないもどかしさのようなものが残る。
ジャックの少年時代の描写にしても、なぜ犯罪に加担したのかイマイチ説得力不足。宿題を忘れ、遅刻をしていじめられ、いつしか味方になってくれるBと付き合っていくうちに悪事に染まったという設定のようだが、何となくBの指示に従わざるを得ずにやったという風情だ。決定的な殺人まで付き合ってしまうようにはどうしても見えない。むしろ、Bの命令に仕方なくやったという印象しかない。動物虐殺もウナギではぴんと来ない。
ラストのジャックが逃亡する風光明媚な海岸の桟橋は何か既視感がある。どこかで見たことがあるかと思えば、「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」の夢のシーンで、トッドと少年らが幸福感で満たされて憩うリゾートと同じ場所じゃないかと思える。その場所でジャックは自殺するか逡巡するのだけれど。
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