地球が静止する日〜環境に優しい地球破壊兵器?〜

tdtess1公式サイト。原題:The Day the Earth Stood Still。スコット・デリクソン監督、キアヌ・リーヴスジェニファー・コネリーキャシー・ベイツジョン・クリーズ、ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス、ジョン・ハム、アーロン・ダグラス。1951年の「地球静止する日」のリメイク。「」の方は地球上の核戦争などによる暴力的闘争の即時的中止の勧告だったが、時代は変わり、今度の「」は「地球環境破壊待ったなしです」バージョンだ。
インデペンデンス・デイ」では世界各地に巨大円盤のUFOが舞い降りるが、今度の舞い降りるUFOは一味違って「球体」で、まるでミニ地球のようだ。実際、ミニ地球のスペース・コロニーで、これ自体は攻撃性がないことが分かる。「球体」は鏡のようだが、文字通り地球をコピー&ペーストするのが目的のようだ。「インデペンデンス・デイ」では世界各国主要都市のみを覆ったが、「球体」は大都市だけでなく、海中、砂漠、沼地などなどありとあらゆる環境の地に舞い降りていることからもそう推測できる。下の写真などまるで米軍から地球を守っているかのようだ。
tdtess2「地球の死は人類の死だ。だが人類が死ねば地球は生き残れる」。クラトゥ(キアヌ・リーヴス)のこの台詞自体はもう20年この方、「ディープエコロジーという過激宗教」で流行っていた陳腐でペダントなバズワードだ。ヘレン(ジェニファー・コネリー)はクラトゥに尋ねるべきだった。「人類って地球に含まれないの?」。
クラトゥは地球ほど多様性に富んだ星は宇宙の中でもそれほどないと言っていたが、けれど、人類って元をたどればその多様性から生まれて来たものだろう。映画では「利他的行動」がキーワードになっているけれど、生物学的多様性も、実は生物同士の競争のプロセスで生まれたもので、競争がなければ、こんな多様性に富んだ星は生まれなかった。じゃあ、もっと文明が進んだクラトゥ君の星はどうやって環境破壊なしに人類以上の文明を発達させたの? とツッコミどころ満載だろう。
それはともかく、あの生物でもなく、無生物でもない“兵器”はVFXの勝利。形はスズメバチのような虫だけれど、言わば金属版ウィルスみたいで、金属に感染して自己増殖するらしい。ちなみにナノマシンと表現されている向きもあるが、あんなでかいナノマシンはないだろう。スタジアムが破壊されるのも、恐らく建物を支える鉄骨が感染して変異して飛び去るから崩れたのだろう。
一方では森林とかには害がないみたいで、子供が“感染”するけれど、有機物にはそれほど破壊的威力はないようだ。そう言えば、兵士たちは自分たちの兵器を逆用されてボカスカ殺されるが、エイリアンの“兵器”が直接人間を殺したシーンはなかった。恐らく犠牲者の大部分は金属変異による二次災害によるものだろう。また金属なので撤収する際リサイクルにも便利そう。“環境に優しい地球破壊兵器”らしい。
とすると、ラストはヘレンの願いが叶ったのか、それともヘレンの願いとは無関係に文明をほぼ破壊し尽くして目的達成なのか微妙だ。最後は全電力プッツンなのだから。これで人類の10分の1は死滅し、「地球は生き残れる」確定だ。
蛇足。「インデペンデンス・デイ」と真逆にアメリカ大統領が表に出て来ないのは、政権交代期で、文字通り“We can change.”するためだったからかも。
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